個人事業主として節税を試みた

本記事は起業編シリーズの第4回です。前回の記事「お金目当てでITエンジニアに転職」もあわせてご覧ください。なお、本記事で書く個人事業主としての活動は、ITエンジニアとして働いていた時期と並行して進めていた話です。時系列が重なりますが、テーマごとに記事を分けています。

はじめに

FPの勉強を通じて累進課税の仕組みを熟知していた僕は、ITエンジニアに転職する前から節税対策を考えていました。今回は、個人事業主として節税を試みた経緯と、その限界に気づくまでを書きます。うまくいったこと、限界を感じたこと、両方正直に書いていきます。

FP取得後に累進課税の対策を考えた

FPの勉強を通じて、累進課税の仕組みは早い段階で熟知していました。給与所得が上がれば上がるほど税率も上がっていく。これは知識として知っているだけでなく、自分の将来に直結する問題として捉えていました。

だからITエンジニアに転職する直前の2021年12月、先手を打って開業届を税務署に提出しました。副業としてWebエンジニアを行いながら、経費計上による節税効果を得るためです。個人事業主としての登録とITエンジニアへの転職は、ほぼ同時進行でした。

個人事業主として副業を始めた

まず考えたのが、個人事業主として副業を始めることでした。個人事業主になると、事業に関連する支出を経費として計上できます。例えば、自宅の一部を事務所として利用しているのであれば、家賃や水道光熱費を按分して経費にしたりも可能です。また、給与所得と事業所得を合算して確定申告することで、節税効果が生まれます。

Webエンジニアを副業として登録し、資格取得にかかる費用や書籍代、通信費なども経費として計上しました。売上自体は赤字でしたが、給与所得との損益通算で課税所得を減らすことができました。節税効果としては十分に感じられました。

個人事業主の節税効果は実感できた

具体的に節税効果を感じた主な経費は以下のとおりです。按分とは、自宅兼事務所の場合に、仕事で使う割合に応じて経費を分けて計上する方法です。

  • 資格取得費用・受験料
  • 専門書・参考書の購入費
  • 通信費(事業利用分)
  • セミナー・勉強会の参加費
  • 家賃 ※按分
  • 水道光熱費 ※按分
  • サブスク費用 ※按分

給与所得だけでは控除できないものが、事業経費として認められることで課税所得が下がります。確定申告の手間はかかりますが、節税効果は明確でした。

個人事業主の限界が見えてきた

個人事業主として節税を進める中で、いくつかの限界にぶつかりました。

社会保険料を経費計上できない

給与所得者として会社に籍を置いている以上、社会保険料は給与から天引きされます。この社会保険料は、個人事業主の経費として計上することができません。社会保険料の負担は、個人事業主になっても変わらないということです。

小規模企業共済に加入できない

小規模企業共済は、個人事業主や中小企業の役員が利用できる節税効果の高い共済制度です。掛け金が全額所得控除になるため、節税手段として非常に有効です。ところが、給与所得者が副業として個人事業主をしている場合、この共済に加入できません。主たる収入が給与所得であるため、制度の対象外になるのです。

妻の投資収益と扶養の問題

もう一つ問題がありました。妻もデイトレを始めており、投資収益が増えてきていました。扶養に入っている妻の収入が一定額を超えると、扶養から外れることになります。そうなると、社会保険料や住民税の負担が増大します。

個人投資家として活動する選択肢も考えましたが、国民年金・国民健康保険を家族の人数分それぞれ負担するとなると、かえってコストが増えてしまいます。扶養の範囲内で投資活動をコントロールするのも、金額が大きくなるにつれて現実的ではなくなっていきました。

個人事業主では解決できないと判断した

整理すると、個人事業主のままでは次の3つの問題が解決できないことがわかりました。

  • 社会保険料を経費計上できない
  • 小規模企業共済など、節税効果の高い制度を使えない
  • 妻の投資収益が増えると扶養から外れ、社会保険料・住民税が増大する

これらをまとめて解決できる手段として、法人設立が浮かび上がってきました。次の記事で詳しく書きますが、法人にすることで社会保険料のコントロール、小規模企業共済やセーフティ共済の活用、妻の投資収益と扶養問題の解消が、すべて視野に入ってきます。

まとめ

個人事業主としての副業・節税は、経費計上という点では一定の効果がありました。ただ、社会保険料・小規模企業共済・妻の扶養問題という3つの壁に阻まれ、限界を感じました。

次の記事では、これらの問題を解決するために法人設立を決断した経緯と、FP独立への考え方、ストックビジネスとしての展望を書きます。

当記事は合同会社まんまる代表・まんまるの実体験をもとにした起業記録です。内容は執筆時点の情報に基づいており、個人の見解を含みます。

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