債券の基礎と投資分析

CFP

1. 概要

債券は国・地方公共団体・企業などが資金調達のために発行する有価証券です。あらかじめ利率(クーポン)と償還期限が決まっており、定期的に利息を受け取りながら満期に元本が返還される「確定利付き」の金融商品です。CFP試験では利回り計算(4種類)・デュレーション・各リスクの理解・課税関係が頻出です。

2. 債券の基礎知識

債券の基本用語

用語内容
額面(元本)満期時に返還される金額。通常100円(または100万円)単位で表示
クーポン(表面利率)額面に対して毎年支払われる利息の割合
償還期限(満期)元本が返還される期日
発行価格債券が最初に市場に出るときの価格。額面と異なる場合がある(オーバーパー・アンダーパー)
市場価格(時価)流通市場で売買される価格。金利動向・信用力等により変動
格付け(レーティング)信用評価機関(S&P・Moody’s・R&I等)が発行体の信用力を評価。BBB(トリプルB)以上が投資適格

債券の発行体による分類

種類発行体特徴
国債最も信用力が高い。利子は申告分離課税(源泉徴収あり)
地方債都道府県・市町村国債に次ぐ信用力。公募地方債・銀行等引受地方債がある
政府関係機関債住宅金融支援機構・NEXCO等政府保証債と財投機関債に分類
社債民間企業発行企業の信用力に依存。普通社債・転換社債(CB)等
外国債外国政府・外国企業等通貨・発行地・発行者により分類。詳細は外貨建て金融商品の記事を参照

3. 債券のリスク

リスクの種類内容
金利リスク市場金利の変動により債券価格が変動するリスク。金利上昇→債券価格下落、金利低下→債券価格上昇(逆相関)
信用リスク(デフォルトリスク)発行体が利払い・元本の返済ができなくなるリスク。格付けが低いほど信用リスクが高い
流動性リスク売りたいときに希望する価格で売却できないリスク。流通量が少ない債券ほど高い
為替リスク外貨建て債券において、為替相場の変動により円換算の損益が変動するリスク
カントリーリスク外国政府・企業の債券において、その国の政治・経済情勢の変化による価値変動リスク
インフレリスクインフレにより債券の実質的な購買力(実質リターン)が低下するリスク

📌 金利と債券価格は逆相関
市場金利が上昇すると、既発債の価格は下落します。なぜなら、新たに発行される債券(高い利率)に比べて既発債(低い利率)の魅力が低下するためです。逆に市場金利が低下すると既発債の価格は上昇します。この関係はCFP試験の最頻出ポイントの一つです。

4. 債券の投資分析

4種類の利回り計算

債券の利回りとは、投資元本に対する1年あたりの収益率(年率)です。CFP試験では以下の4種類の計算式をしっかり覚えることが重要です。

利回りの種類計算式場面
応募者利回り{表面利率 + (額面 − 発行価格)÷ 償還年数}÷ 発行価格 × 100新発債を発行価格で購入し満期まで保有
最終利回り{表面利率 + (額面 − 購入価格)÷ 残存年数}÷ 購入価格 × 100既発債を時価で購入し満期まで保有
所有期間利回り{表面利率 + (売却価格 − 購入価格)÷ 所有期間}÷ 購入価格 × 100途中で売却する場合
直接利回り(カレントイールド)表面利率 ÷ 購入価格 × 100毎年受け取る利息のみに着目

計算例(最終利回り)

表面利率1%・残存期間5年・額面100円の既発債を95円で購入した場合の最終利回り:

最終利回り = {1円 + (100円 − 95円)÷ 5年}÷ 95円 × 100 = {1 + 1}÷ 95 × 100 ≒ 2.105%

デュレーション

デュレーションとは、債券への投資元本が回収されるまでの平均回収期間(加重平均)であり、金利変動に対する債券価格の感応度を示す指標でもあります。

特性内容
デュレーションが長い債券金利変動に対する価格変動が大きい(金利リスクが高い)
デュレーションが短い債券金利変動に対する価格変動が小さい(金利リスクが低い)
デュレーションを長くする要因残存期間が長い・表面利率が低い・利回りが低い
ゼロクーポン債のデュレーション残存期間と一致(途中でキャッシュフローがないため)

📌 修正デュレーション
金利が1%変化したときに債券価格が何%変化するかを示す指標が「修正デュレーション」です。修正デュレーション = デュレーション ÷ (1 + 利回り)で求められます。例えば修正デュレーションが5の場合、金利が1%上昇すると債券価格は約5%下落します。

イールドカーブ(利回り曲線)

残存期間の異なる債券の利回りを結んだ曲線をイールドカーブといいます。形状により景気・金融政策の状況が読み取れます。

形状特徴意味・背景
順イールド(右上がり)長期金利 > 短期金利通常の状態。将来の景気拡大・インフレ期待
逆イールド(右下がり)長期金利 < 短期金利景気後退・利下げ期待。不況のシグナルとされる
フラット(水平)長期金利 ≒ 短期金利景気の転換点。利下げ・利上げの転換期に出現

5. 主な国債の種類

種類期間金利タイプ特徴
固定利付国債2年・5年・10年・20年・30年・40年固定金利最も一般的な国債。半年ごとに利払い
変動利付国債15年変動金利半年ごとに10年国債利回りに連動して金利が変わる。金利上昇局面で有利
物価連動国債10年固定金利(元本が変動)元本額が消費者物価指数(CPI)に連動。インフレリスクへのヘッジ手段
個人向け国債(変動10年)10年変動金利半年ごとに金利見直し(基準金利×0.66)。最低金利0.05%が保証。毎月発行
個人向け国債(固定5年)5年固定金利基準金利−0.05%。最低金利0.05%保証
個人向け国債(固定3年)3年固定金利基準金利−0.03%。最低金利0.05%保証

⚠️ 個人向け国債の中途換金
個人向け国債は発行後1年経過すれば中途換金できますが、直近2回分の利子相当額(税引前)が差し引かれます。元本割れはしません。発行後1年未満は原則として中途換金不可です。

6. 債券の課税関係

収益の種類課税区分税率・方法
利子(クーポン収入)利子所得20.315%源泉徴収(申告分離課税または申告不要が選択可)
売却益(譲渡益)譲渡所得(申告分離課税)20.315%。損失は上場株式等の譲渡損失・配当所得と損益通算可
償還差益(額面 > 購入価格の場合)譲渡所得(申告分離課税)20.315%。売却益と同様の扱い
償還差損(額面 < 購入価格の場合)譲渡損失上場株式等の譲渡益・配当所得と損益通算可

📌 特定公社債と一般公社債の区別
国債・地方債・上場社債等は「特定公社債」に分類され、利子は申告分離課税(申告不要も可)、売却益・償還差益は申告分離課税となります。上場していない社債等(一般公社債)の利子は源泉分離課税(申告不可)です。試験では「特定公社債かどうか」により課税方法が異なる点が問われます。

7. 試験の重要ポイント

  • 金利上昇→債券価格下落、金利低下→債券価格上昇(逆相関)は最頻出。理由とセットで理解する
  • 格付けBBB(トリプルB)以上が投資適格。BB以下はハイイールド債(投機的格付け)
  • 利回り4種類の計算式を覚える:応募者・最終・所有期間・直接(カレント)
  • 最終利回りの計算:{表面利率 + (額面 − 購入価格)÷ 残存年数}÷ 購入価格 × 100
  • デュレーションが長い = 金利リスクが高い(価格変動が大きい)
  • ゼロクーポン債のデュレーション = 残存期間と一致
  • 逆イールド(長期金利<短期金利)は景気後退のシグナルとされる
  • 個人向け国債の最低保証金利は0.05%。中途換金は発行後1年経過後(直近2回分の利子相当額が差し引かれる)
  • 物価連動国債は元本がCPIに連動。インフレヘッジとして機能
  • 債券の利子・売却益・償還差益はすべて20.315%申告分離課税(特定公社債の場合)
  • 債券の譲渡損失・償還差損は上場株式等の譲渡益・配当所得と損益通算可

参考・出典

  • 財務省「国債に関する情報」https://www.mof.go.jp/jgbs/index.htm
  • 財務省「個人向け国債」https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/index.htm
  • 国税庁「No.1320 財産を売ったとき(債券・公社債の譲渡益)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1320.htm
  • 金融庁「債券市場の概要」https://www.fsa.go.jp/

本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制・法令は毎年改正されることがあります。実際の申告・手続きについては、最新の情報を確認するとともに、税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

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