📊 この記事の出題頻度:★★★(高)
FP3級との主な違い:必要保障額の積み上げ計算を実際に行う・遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)の金額を差し引く計算・中高齢寡婦加算の取り扱い・ライフステージによる変化が加わります。
必要保障額とは
必要保障額とは、世帯主が死亡した場合に残された家族の生活を維持するために必要な資金の総額から、遺族が受け取れる収入(遺族年金・配偶者収入・預貯金など)を差し引いた不足額のことです。この不足分を死亡保険でまかなうことが基本的な考え方です。
📌 必要保障額 = 遺族の必要資金(支出合計)- 遺族が受け取れる収入・資産(収入合計)
この差額がプラス(支出超過)の場合に、生命保険でカバーする額が「必要保障額」となります。
必要資金(支出)の計算
①子どもが独立するまでの生活費
末子が独立するまでの期間の生活費は、現在の生活費の70%が一般的な目安です。
計算式:現在の年間生活費 × 70% × (末子が22歳になるまでの年数)
②配偶者が独り立ち後の生活費
末子独立後から配偶者が亡くなるまでの生活費は、現在の生活費の50%が目安です。
計算式:現在の年間生活費 × 50% × 配偶者の残りの生涯年数
③一時的に必要な資金
- 子どもの教育費(幼稚園〜大学の合計)
- 葬儀費用(目安:約150〜200万円)
- 住宅取得費・引越費用(賃貸転居の場合)
- 緊急予備費
遺族が受け取れる収入(差し引く項目)
①遺族年金(2025年度)
| 年金の種類 | 受給要件・金額(2025年度) |
|---|---|
| 遺族基礎年金(本体) | 年額831,700円(子のある配偶者または子) |
| 子の加算(第1・2子) | 1人あたり年額239,300円 |
| 子の加算(第3子以降) | 1人あたり年額79,800円 |
| 遺族厚生年金 | 亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4 |
| 中高齢寡婦加算 | 年額623,800円(40〜65歳の子のない妻または末子が18歳年度末を過ぎた妻) |
⚠️ 遺族年金制度改正(2028年4月施行予定):令和7年の年金制度改正法で、遺族厚生年金の受給期間が配偶者に対して原則5年に制限される制度が2028年4月から施行される見通しです(経過措置あり)。2025年6月〜2026年5月のCBT試験では現行制度が出題範囲です。
②その他の収入・資産
- 配偶者の収入(将来にわたる見込み額)
- 死亡退職金・弔慰金
- 現在の預貯金・有価証券
- 住宅ローン残高(団体信用生命保険で完済される場合は支出から除外)
必要保障額の計算例
【設例】Aさん(35歳・会社員)が死亡した場合
・妻(33歳・専業主婦)、子2人(末子5歳)
・現在の年間生活費:360万円(月30万円)
・遺族基礎年金(子2人):年額831,700円+239,300円×2=1,310,300円/年
・遺族厚生年金(概算):年額90万円
・妻の将来収入(見込み):合計3,000万円
・預貯金:500万円、葬儀費用:200万円、子の教育費:1,500万円
【必要資金の計算】
①末子独立(17年間)の生活費:360万円 × 70% × 17年 = 4,284万円
②配偶者独立後の生活費(57年-17年=40年間):360万円 × 50% × 40年 = 7,200万円
③一時的資金:葬儀200万円 + 教育費1,500万円 = 1,700万円
必要資金合計 = 4,284万円 + 7,200万円 + 1,700万円 = 13,184万円
【遺族収入の計算】
遺族年金(17年間):131万円 × 17年 = 2,227万円
遺族厚生年金(65歳まで):90万円 × 32年 = 2,880万円
妻の収入:3,000万円
預貯金:500万円
遺族収入合計 = 2,227万円 + 2,880万円 + 3,000万円 + 500万円 = 8,607万円
必要保障額 = 13,184万円 - 8,607万円 = 約4,577万円
📌 この計算はあくまで「積み上げ方式」の考え方を示したものです。FP2級試験では計算の考え方(どの項目を足してどの項目を引くか)が問われます。実際には設例の数値を丁寧に当てはめてください。
ライフステージによる必要保障額の変化
必要保障額はライフステージの変化に伴って変動します。FP2級では「どのタイミングで保険を見直すか」という判断が問われることもあります。
| ライフステージ | 必要保障額の傾向 | 理由 |
|---|---|---|
| 独身時代 | 少ない | 扶養家族がいない・遺族年金なし |
| 結婚直後(子なし) | 増加 | 配偶者の生活保障が必要 |
| 子育て中(末子小学生頃) | 最大 | 子の教育費+生活費が長期にわたり必要 |
| 子の独立後 | 減少 | 教育費不要・遺族年金も受け取りやすくなる |
| 老後(年金受給開始後) | さらに減少 | 老齢年金で生活基盤が確立 |
団体信用生命保険(団信)との関係
住宅ローンを利用している場合、多くの場合は団体信用生命保険(団信)に加入しています。世帯主が死亡した場合、団信によりローン残高が完済されるため、必要保障額の計算から住宅ローン残高を除外できます。この点が試験でよく問われます。
FP3級との主な違い
| 項目 | FP3級 | FP2級 |
|---|---|---|
| 必要保障額の計算 | 概念のみ | 積み上げ方式で実際に計算 |
| 遺族年金の活用 | 遺族年金の存在と種類 | 金額を具体的に差し引いて計算 |
| 中高齢寡婦加算 | 名称のみ | 金額・対象者の要件 |
| 団信との関係 | 概念のみ | 必要保障額計算への影響(除外の判断) |
まとめ
FP2級の必要保障額計算は「必要資金-遺族収入」という基本構造を押さえ、各項目に何が含まれるかを整理することが肝心です。遺族年金の金額(遺族基礎年金831,700円+子の加算239,300円・2025年度)を差し引く計算と、団信によるローン残高除外の判断が特によく問われます。
本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制・制度は毎年改正されることがあります。実際の手続き・申告・納税については、最新の法令および公式情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。本記事はFP2級試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。
