本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。
税制や制度は改正されることがあるため、実際の手続きや適用については、
必ず国税庁などの公式情報をご確認ください。
1. 概要
給与所得とは、勤務先から受け取る給与・賞与などの収入から給与所得控除額を差し引いて計算される所得です。給与所得者(会社員・公務員等)は原則として実際の必要経費を計上できないため、給与収入に応じた定額の控除が認められています。
給与所得は10種類ある所得のひとつであり、日本の納税者の大多数を占める給与所得者に直接関わる重要な制度です。CFP試験においても頻出分野です。
2. 所得の定義
所得税法第28条において、給与所得は次のとおり定義されています。
給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費および賞与ならびにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう。(所得税法第28条第1項)
給与所得金額 = 給与等の収入金額 ー 給与所得控除額
3. 該当する収入・該当しない収入
給与所得に該当する主な収入
- 給与・俸給・賃金・歳費
- 賞与(ボーナス)
- 残業手当・休日手当
- 役職手当・住宅手当・家族手当などの各種手当
- 役員報酬(使用人兼務役員の給与部分)
給与所得に該当しない主な収入
- 退職金・一時恩給(退職所得)
- 事業として行う業務の報酬(事業所得)
- 原稿料・講演料・副業収入(雑所得または事業所得)
- 通勤手当(一定額まで非課税)
- 旅費・出張費(実費相当額は非課税)
4. 給与所得控除額(令和7年分)
令和7年分から給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。年収190万円超については従来の計算式と変更はありません。
| 給与等の収入金額(年収) | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 190万円以下 | 65万円(一律) ※改正前:55万円 |
| 190万円超〜360万円以下 | 収入金額 × 30% + 8万円 |
| 360万円超〜660万円以下 | 収入金額 × 20% + 44万円 |
| 660万円超〜850万円以下 | 収入金額 × 10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
⚠️ 令和7年分の改正ポイント:
・年収190万円以下の給与所得控除が55万円から65万円に引き上げ。
・年収190万円超については変更なし。この改正は令和7年12月1日施行・令和7年分以後の所得税に適用されます。
5. 計算例(令和7年分)
【例①】年収 250万円
| 項目 | 金額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 給与収入 | 250万円 | |
| 給与所得控除額 | △ 83万円 | 250万 × 30% + 8万円(190万円超360万円以下) |
| 給与所得金額 | 167万円 |
【例②】年収 500万円
| 項目 | 金額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 給与収入 | 500万円 | |
| 給与所得控除額 | △ 144万円 | 500万 × 20% + 44万円(360万円超660万円以下) |
| 給与所得金額 | 356万円 |
【例③】年収 1,000万円
| 項目 | 金額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 給与収入 | 1,000万円 | |
| 給与所得控除額 | △ 195万円 | 850万円超のため上限額 |
| 給与所得金額 | 805万円 |
【例④】年収 2,000万円
| 項目 | 金額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 給与収入 | 2,000万円 | |
| 給与所得控除額 | △ 195万円 | 850万円超のため上限額 |
| 給与所得金額 | 1,805万円 |
📌 年収2,000万円超の給与所得者は年末調整の対象外となり、確定申告が必要です。
6. 特定支出控除
給与所得者は原則として必要経費を計上できませんが、一定の要件を満たす「特定支出」が給与所得控除額の2分の1を超える場合、確定申告によりその超える部分を追加控除できます(特定支出控除)。
| 特定支出の種類 | 内容 |
|---|---|
| 通勤費 | 通勤のための支出(非課税限度額超過分) |
| 職務上の旅費 | 勤務地から離れた地での職務遂行に必要な旅行費用 |
| 転居費 | 転任に伴う転居のための費用 |
| 研修費 | 職務に直接必要な技術・知識の習得のための費用 |
| 資格取得費 | 職務に直接必要な資格取得のための費用 |
| 帰宅旅費 | 単身赴任者の帰宅のための旅費 |
| 図書費・衣服費・交際費等 | 勤務必要経費(上限65万円) |
7. 関連制度
源泉徴収制度
給与所得者は、給与の支払者(会社)が毎月の給与から所得税を天引きし(源泉徴収)、納税者に代わって国に納付します。源泉徴収税額は「源泉徴収税額表」に基づいて計算されます。
年末調整
毎月の源泉徴収はあくまでも概算です。年末に1年間の正確な税額を再計算し、源泉徴収額との過不足を精算する手続きが年末調整です。ほとんどの給与所得者は年末調整で課税関係が完結するため、確定申告が不要となります。
令和7年分の年末調整からは、改正後の給与所得控除額・基礎控除額・特定親族特別控除が適用されます。
8. 試験の重要ポイント
- 給与所得者には実額必要経費は認められず、代わりに給与所得控除が適用される
- 令和7年分から給与所得控除の最低保障額が55万円→65万円に引き上げ(年収190万円以下)
- 給与所得控除の上限は195万円(年収850万円超)
- 特定支出控除は給与所得控除額の2分の1超の部分が控除対象(確定申告が必要)
- 源泉徴収・年末調整により、多くの給与所得者は確定申告が不要
- 給与収入660万円未満の場合は速算表ではなく「給与所得控除後の給与等の金額の表」で計算
参考・出典
- 国税庁「No.1400 給与所得」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1400.htm
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
- 国税庁「No.1415 給与所得者の特定支出控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1415.htm
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm
本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。税制は毎年改正されることがあります。実際の申告・納税については、最新の税法および国税庁の情報を確認するとともに、税理士等の専門家にご相談ください。本記事は令和7年(2025年)分の税制に基づいて作成しています。

