都市計画法と建築基準法

CFP

1. 概要

都市計画法は都市の健全な発展と秩序ある整備を目的とし、土地の用途・開発行為等を規制する法律です。建築基準法は建築物の敷地・構造・設備・用途に関する最低基準を定める法律です。不動産取引では「その土地に何が建てられるか」を確認するために、この2つの法律を理解することが不可欠です。CFP試験では用途地域の種類・建蔽率・容積率の計算・建築確認制度が重点分野です。また令和7年(2025年)4月から省エネ基準の適合義務化と4号特例の縮小が施行されており、最新情報の把握も重要です。

2. 都市計画法

(1)都市計画区域と区域区分

都市計画法は、都市計画区域を設定し、その中で市街化区域・市街化調整区域などに区分して土地利用を規制・誘導します。

区域の種類内容
都市計画区域都道府県が指定する一体の都市として整備・開発・保全が必要な区域
市街化区域すでに市街地を形成している区域、または概ね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域。用途地域の定めが必須
市街化調整区域市街化を抑制すべき区域。原則として開発・建築が制限される。用途地域の定めは原則なし
非線引き区域(区域区分が定められていない都市計画区域)市街化区域・市街化調整区域に区分されていない区域。用途地域を定めることができる
準都市計画区域都市計画区域外で、土地利用の整序が必要な区域。用途地域を定めることができる

(2)用途地域の種類(13種類)

用途地域は、地域の特性に応じた土地利用を誘導するため、建築できる建物の種類を制限する制度です。住居系・商業系・工業系の3系統・13種類あります。

系統用途地域主な特徴
住居系(8種)第一種低層住居専用地域低層住宅(戸建等)の良好な環境を守る地域。住宅・小規模な店舗兼用住宅のみ。高さ制限あり(絶対高さ10mまたは12m)
第二種低層住居専用地域主に低層住宅の環境を守る地域。小規模な店舗・飲食店も可
田園住居地域農業と低層住宅が調和した環境を守る地域(2018年新設)。農地・低層住宅・農産物直売所等
第一種中高層住居専用地域中高層住宅の環境を守る地域。病院・大学も可
第二種中高層住居専用地域主に中高層住宅の環境を守る。小規模な店舗・事務所も可
第一種住居地域住居の環境を守る地域。床面積3,000㎡以下の店舗・事務所・ホテルも可
第二種住居地域主に住居の環境を守る地域。大型店舗・風俗施設の一部も可
準住居地域道路の沿道特性を生かしつつ住居環境を守る。自動車関連施設も可
商業系(2種)近隣商業地域近隣住民の日用品需要を供給する地域。小・中規模の商業施設
商業地域主に商業や業務の利便を増進する地域。大型商業施設・オフィス等。住宅も建築可
工業系(3種)準工業地域主に軽工業の工場の環境を守る地域。危険性・環境悪化の恐れが少ない工場
工業地域主に工業の利便を増進する地域。住宅・商業施設も建築可
工業専用地域工業の利便のために定める地域。住宅は建築不可

📌 住宅が建築できない用途地域
13種類の用途地域のうち、工業専用地域のみ住宅の建築が禁止されています。その他の12種類はすべて住宅の建築が可能です(工業地域でも住宅は建てられます)。CFP試験の頻出ポイントです。

(3)開発行為の許可

都市計画法では、一定の開発行為(建築物の建築や特定工作物の建設を目的とする土地の区画形質の変更)を行う場合、都道府県知事の許可が必要です(都市計画法29条)。

区域許可が必要な規模
市街化区域1,000㎡以上の開発行為(三大都市圏の一部は500㎡以上)
市街化調整区域規模にかかわらずすべての開発行為(例外あり)
非線引き区域・準都市計画区域3,000㎡以上の開発行為
都市計画区域・準都市計画区域外1ha(10,000㎡)以上の開発行為

3. 建築基準法

(1)建蔽率(建ぺい率)

建蔽率とは、敷地面積に対する建築面積の割合です。建築面積とは建物を真上から見たときの面積(水平投影面積)をいいます。

建蔽率(%)= 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100

建蔽率が緩和される主な条件緩和内容
防火地域内で耐火建築物を建てる場合+10%(指定建蔽率が80%の場合は制限なし)
準防火地域内で耐火建築物または準耐火建築物を建てる場合+10%
特定行政庁が指定する角地(2つ以上の道路に接する敷地)+10%
上記2条件が重複する場合+20%(合算)

⚠️ 建蔽率の制限が適用されない(建蔽率100%)ケース
①防火地域内で耐火建築物を建てる場合かつ指定建蔽率が80%の地域(=商業地域等)では建蔽率の制限なし(100%)
②巡査派出所・公衆便所・公共用歩廊などの公益上必要な建築物

(2)容積率

容積率とは、敷地面積に対する延べ面積(各階の床面積の合計)の割合です。

容積率(%)= 延べ面積 ÷ 敷地面積 × 100

前面道路による容積率の制限

前面道路の幅員が12m未満の場合、道路幅員による容積率(基準容積率)が適用され、指定容積率と比べて小さい方が適用されます。

用途地域の種類容積率の計算式(前面道路12m未満の場合)
住居系の用途地域(第一・二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一・二種中高層住居専用地域、第一・二種住居地域、準住居地域)道路幅員(m)× 0.4(40/100)
その他の用途地域(商業系・工業系、非線引き区域等)道路幅員(m)× 0.6(60/100)

📌 容積率の計算例
指定容積率200%の第1種住居地域で、前面道路の幅員が4mの場合:
基準容積率 = 4m × 40 = 160%
160%(基準容積率)< 200%(指定容積率)→ 小さい方の160%が適用される

容積率の不算入(緩和)

対象不算入の範囲
地下室(住宅用途)建物全体の延べ面積の1/3以下の部分を容積率の計算から除外
自動車車庫・自転車置き場建物全体の延べ面積の1/5以下の部分を除外
ロフト・小屋裏収納(高さ1.4m以下)直下の床面積の1/2以下の部分を除外
共同住宅の共用廊下・階段全て除外(容積率に算入しない)

(3)高さ制限の種類

制限の種類概要適用される地域
絶対高さ制限建物の高さを10mまたは12m以内に制限第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域
道路斜線制限前面道路から一定の勾配を超えて建物を建てられない全ての用途地域・無指定区域に適用
隣地斜線制限隣地境界線から一定の勾配を超えて建物を建てられない第一・二種低層住居専用地域・田園住居地域以外
北側斜線制限北側の隣地の日照確保のため、北側境界線から一定の勾配を超えて建てられない第一・二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一・二種中高層住居専用地域(日影規制が適用される場合は適用除外)
日影規制中高層建築物が周囲に一定時間以上の日影を生じさせないための規制商業地域・工業地域・工業専用地域以外の地域で条例により指定

(4)接道義務とセットバック

建築基準法では、建築物を建てる敷地は幅員4m以上の建築基準法上の道路に、2m以上接していなければなりません(接道義務・建築基準法43条)。前面道路の幅が4m未満の場合(いわゆる2項道路)は、道路の中心線から2m後退(セットバック)した位置が道路の境界線とみなされ、セットバック部分は敷地面積に算入できません。

(5)防火地域・準防火地域

地域建築制限の主な内容
防火地域原則として、地上3階建て以上または延べ面積100㎡超は耐火建築物にしなければならない。これに満たない建物は準耐火建築物以上でよい
準防火地域原則として、地上4階建て以上または延べ面積1,500㎡超は耐火建築物にしなければならない。木造3階建て・500㎡超は準耐火建築物以上でよい

(6)建築確認制度

建築物を建築・大規模修繕・大規模模様替・用途変更する場合は、工事着手前に建築確認申請を行い、建築主事(または指定確認検査機関)の確認を受けなければなりません。

建築物の規模・種類建築確認が必要な場合
特殊建築物(学校・病院・共同住宅・店舗等)で床面積200㎡超全国どこでも必要
木造建築物で3階建て以上または延べ面積500㎡超または高さ13m超または軒高9m超全国どこでも必要
木造以外で2階建て以上または延べ面積200㎡超全国どこでも必要
上記以外の建築物(新2号・新3号建築物)都市計画区域等内では必要

4. 令和7年(2025年)4月施行の建築関連改正

(1)省エネ基準適合の義務化【2025年4月施行】

令和7年(2025年)4月1日より、原則としてすべての新築建築物(住宅・非住宅を問わず)に省エネ基準への適合が義務化されました(建築物省エネ法改正)。2050年カーボンニュートラルの実現に向けた建築分野の対策強化が目的です。

項目内容
義務化の対象2025年4月1日以降に着工するすべての新築建築物(一部例外を除く)
住宅の基準外皮性能基準(断熱等性能等級4以上)+一次エネルギー消費量基準の両方への適合が必要
適用除外10㎡以下の極小建築物、自動車車庫、畜舎・堆肥舎、応急仮設建築物等
増改築の場合増改築する部分のみが省エネ基準に適合していれば足りる(既存部分全体は不要)

(2)4号特例の縮小(建築確認手続きの見直し)【2025年4月施行】

従来の「4号建築物」(木造2階建て以下・延べ面積500㎡以下等の小規模建築物)に適用されていた構造審査等の省略特例(4号特例)が縮小され、建築物の区分が再編されました。

区分対象改正後の扱い
新2号建築物木造2階建て・延べ面積200㎡超(旧4号建築物の一部)都市計画区域等内では構造・省エネ図書の提出が必要。審査省略の特例は適用されない
新3号建築物木造平屋建て・延べ面積200㎡以下引き続き審査省略が可能(都市計画区域外では建築確認不要のまま)

📌 改正の要点
2025年4月以降、木造2階建ての一般的な戸建住宅(延べ面積200㎡超)は「新2号建築物」として構造・省エネの審査が必要になり、設計・申請作業の負担が増加しています。一方で、建物の安全性・省エネ性能の水準が底上げされるメリットがあります。

5. 建蔽率・容積率の計算問題

計算例:建蔽率と容積率の確認

【条件】敷地面積200㎡、用途地域:第1種住居地域、指定建蔽率:60%、指定容積率:200%、前面道路幅員:5m

①建蔽率の上限:
指定建蔽率60%が適用。最大建築面積 = 200㎡ × 60% = 120㎡

②容積率の上限:
前面道路5m(12m未満)で住居系のため乗数0.4を適用
基準容積率 = 5m × 40 = 200%
指定容積率(200%)と基準容積率(200%)が等しいため、適用容積率 = 200%
最大延べ面積 = 200㎡ × 200% = 400㎡

6. 試験の重要ポイント

  • 市街化区域には用途地域の定めが必須。市街化調整区域には原則なし
  • 用途地域は13種類(住居系8・商業系2・工業系3)。工業専用地域のみ住宅建築不可
  • 田園住居地域は2018年に新設された13番目の用途地域
  • 建蔽率の緩和:防火地域内耐火建築物+10%、角地+10%。両方該当で+20%
  • 指定建蔽率80%の防火地域内で耐火建築物を建てると建蔽率の制限なし(100%
  • 前面道路12m未満の容積率:住居系は道路幅員×0.4、それ以外は×0.6。指定容積率と比べて小さい方を適用
  • 地下室(住宅用途)は延べ面積の1/3以下を容積率から除外
  • 接道義務:幅員4m以上の道路に2m以上接すること。4m未満の道路は中心線から2mセットバック
  • 絶対高さ制限(10mまたは12m):第一・二種低層住居専用地域・田園住居地域に適用
  • 道路斜線制限は全用途地域・無指定区域に適用(隣地・北側は適用範囲が限定)
  • 日影規制は商業・工業・工業専用地域を除く用途地域で条例により指定
  • 2025年4月施行改正:原則すべての新築建築物に省エネ基準適合が義務化。木造2階建て・延べ面積200㎡超は「新2号建築物」として構造・省エネ審査が必要に(4号特例の縮小)

参考・出典

  • 国土交通省「都市計画法」https://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/toshi_city_plan_fr_000001.html
  • 国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000163.html
  • 国土交通省「2025年4月から小規模の木造住宅・建築物の構造基準が変わります」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000194.html
  • 国土交通省「用途地域」https://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/toshi_city_plan_fr_000017.html

本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。令和7年(2025年)4月1日施行の省エネ基準適合義務化・4号特例の縮小を含む最新の改正情報を反映しています。実際の建築・開発計画については、建築士・行政の建築指導課等の専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

タイトルとURLをコピーしました