本記事は起業編シリーズの第5回です。前回の記事「個人事業主として節税を試みた」もあわせてご覧ください。
はじめに
個人事業主として節税を試みたものの、社会保険料・小規模企業共済・妻の扶養問題という3つの壁に阻まれました。これらをまとめて解決する手段として浮かび上がってきたのが、法人設立です。
今回は、法人を作ることを決断した理由と、FP独立への考え方、そして家族を守るストックビジネスという視点を書きます。
法人にすれば何が変わるのか
個人事業主の限界を整理した上で、法人にした場合に何が解決できるかを考えました。
社会保険料をコントロールできる
法人の役員報酬は、自分で設定することができます。役員報酬を低く抑えれば、それに連動する社会保険料も低くなります。個人の株式投資やFXで利益が出ても、社会保険料には反映されません。妻と僕がそれぞれ役員として報酬を受け取る設計にすれば、社会保険料を一定の範囲内に収めながら、投資で自由に稼ぐことができます。
小規模企業共済・セーフティ共済を使える
法人の役員になると、小規模企業共済に加入できます。掛け金は月最大7万円で、全額所得控除の対象になります。年間84万円の控除は、節税効果として非常に大きいです。また、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)も活用できます。こちらも掛け金が全額損金算入になるため、法人税の節税に有効です。どちらも利益が出ることが前提ですが、視野に入れておく価値のある制度です。
妻の扶養問題が解消される
個人事業主のままでは、妻が扶養に入っている状態で投資収益が増えると、収入次第で扶養から外れることになります。そうなると社会保険料や住民税の負担が一気に増えます。
法人を設立して妻を常勤役員にし、役員報酬を受け取る形にすれば、社会保険に強制加入となります。被保険者として社会保険に加入している以上、個人で投資活動をして収益が増えても社会保険料には影響しません。扶養という概念がそもそも関係なくなるため、収入による扶養脱退の心配がなくなります。
「何にも属さないFP」として独立したかった
節税や社会保険の問題だけが法人化の理由ではありません。もう一つ、FPとしての活動スタイルへの考え方がありました。
FPで収入を得ようとすると、どこかの会社に属するか、独立するかのどちらかになります。保険会社や証券会社に属いたFPは、どうしても「自社商品を売るための提案」になりがちです。顧客の利益を最優先にするのがFPの本来の役割だと思っていますが、何かに属した瞬間にそれが実現できるのか、という疑問がずっとありました。
自分自身がお金に苦しんだ経験があるからこそ、読んだ人が自分でお金の判断ができるようになる情報を発信したいと思っています。何にも属さない独立したFPとして活動することが、そのためには自然な選択でした。法人という形を持つことで、その軸がより明確になります。
自分がいなくなっても家族を守る仕組みを作りたかった
法人化を決断したもう一つの大きな理由は、家族のことです。
外国人の妻が日本で一人になったとき、言語も文化も違う中で生活していかなければなりません。僕がいなくなった後も、自動的に収益が入り続ける仕組み、いわばマネーマシンのようなものがあれば、少しは安心できます。
Webメディアによるコンテンツビジネスは、うまく育てれば自分がいなくなっても収益を生み続ける可能性があります。ストックビジネスとして積み上げていけば、祖母が後世に残そうとしてくれた財産を、別の形で作り直すことにもつながります。
また、合同会社という形を選んだ理由の一つは、承継のしやすさです。僕が死んだあとに妻が代表を引き継ぐ手続きが、株式会社より比較的シンプルです。「死後に家族を守るキャッシュフロー」という目的には、合同会社が合っていると判断しました。
法人設立を決意した
整理すると、法人化の理由は大きく3つです。
- 社会保険料のコントロールと、小規模企業共済・セーフティ共済による節税
- 何にも属さないFPとして独立し、顧客の利益を最優先にした情報発信をする
- 自分がいなくなっても家族を守るストックビジネスを作る
こうして、合同会社まんまるの設立に向けて動き出しました。次の記事では、実際に合同会社を設立した手続きの流れと、やってみてわかった誤算を書きます。
まとめ
個人事業主の限界から法人化へ、という流れは節税だけが理由ではありませんでした。FP独立への考え方、家族を守るストックビジネスという視点が重なって、法人設立という決断につながりました。
次の記事では、合同会社まんまるの設立手続きと、実際にやってみてわかった誤算を包み隠さず書きます。
当記事は合同会社まんまる代表・まんまるの実体験をもとにした起業記録です。内容は執筆時点の情報に基づいており、個人の見解を含みます。
