1. 概要
利子所得とは、預貯金や公社債などの利子、および一定の投資信託の収益分配金から生じる所得です。10種類ある所得のうちのひとつであり、他の所得とは異なり原則として源泉分離課税が適用されます。
利子所得は支払いを受ける際に税が源泉徴収されて課税関係が完結するため、確定申告をすることができません。CFP試験では、利子所得の範囲・課税方式・非課税となるものの区別が頻出です。
2. 所得の定義
所得税法第23条において、利子所得は次のとおり定義されています。
利子所得とは、公社債および預貯金の利子ならびに合同運用信託、公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいう。(所得税法第23条第1項)
利子所得金額 = 収入金額(利子等)
利子所得は必要経費を控除することができません。収入金額(源泉徴収される前の金額)がそのまま利子所得の金額となります。
3. 該当する収入・該当しない収入
利子所得に該当する主な収入
- 銀行・信用金庫・郵便局などの預貯金の利子
- 国債・地方債・社債などの公社債の利子
- 合同運用信託(金銭信託等)の収益の分配
- 公社債投資信託(MMF・MRF等)の収益分配金
- 公募公社債等運用投資信託の収益分配金
利子所得に該当しない主な収入
- 株式投資信託・ETFの収益分配金 → 配当所得
- 個人・法人間の貸付金から生じる利息 → 雑所得または事業所得
- J-REITの分配金 → 配当所得
- 非営業用貸金の利子 → 雑所得
⚠️ 貸付金の利子は利子所得ではない
個人が他者に金銭を貸し付けた場合の利子収入は、利子所得ではなく雑所得(非営業用貸金の利子)に該当します。預貯金等の利子と混同しないよう注意が必要です。
4. 課税方式
利子所得の課税方式は、利子の種類によって異なります。大きく「源泉分離課税」「申告分離課税」「総合課税」の3つに分かれます。
| 利子の種類 | 課税方式 | 税率 | 確定申告 |
|---|---|---|---|
| 預貯金の利子・一般公社債の利子・公社債投資信託の収益分配金 | 源泉分離課税 | 20.315% | 不可 |
| 特定公社債等の利子(国債・地方債・上場公社債等) | 申告分離課税(申告不要も選択可) | 20.315% | 任意 |
| 同族会社が発行した社債の利子(一定の株主等が受け取るもの) | 総合課税 | 累進税率 | 必要 |
📌 源泉分離課税とは
利子の支払い時に一律20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)が源泉徴収され、それだけで課税関係が完結する方式です。他の所得と合算されず、確定申告をすることができません。
特定公社債等の申告分離課税(平成28年以降)
平成28年1月1日以後、国債・地方債・上場公社債などの特定公社債等の利子は、源泉徴収(20.315%)がされたうえで申告分離課税の対象となりました。確定申告しないことも選択できます。申告分離課税を選択した場合、上場株式等の譲渡損失との損益通算や3年間の繰越控除が可能になります。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 特定公社債等(申告分離課税) | 国債・地方債・外国国債・公募公社債・上場公社債など |
| 一般公社債等(源泉分離課税) | 同族会社以外の非上場会社の社債・私募公社債投資信託など |
5. 非課税となる利子
以下の利子については、所得税が非課税とされています。
| 非課税の種類 | 内容・限度額 |
|---|---|
| 障害者等のマル優(非課税貯蓄) | 障害者・遺族年金受給者等が元本350万円まで預けた預貯金・公社債の利子 |
| 財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄 | 住宅取得・年金目的の財形貯蓄(元本合計550万円まで)の利子 |
| 納税準備預金の利子 | 税金の納付を目的とした預金の利子(目的外引出し時は課税) |
| NISA口座内の利子・分配金 | NISA口座内で保有する公社債等の利子(非課税保有限度額の範囲内) |
6. 計算例
【例①】預貯金の利子(源泉分離課税)
| 項目 | 金額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 普通預金の利子(税引前) | 10,000円 | |
| 源泉徴収税額(所得税) | △ 1,532円 | 10,000円 × 15.315%(端数切捨て) |
| 源泉徴収税額(住民税) | △ 500円 | 10,000円 × 5% |
| 手取り額 | 7,968円 | 確定申告不可・課税関係完結 |
【例②】特定公社債(国債)の利子(申告分離課税を選択した場合)
| 項目 | 金額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 国債の利子(税引前) | 100,000円 | |
| 源泉徴収税額(所得税) | △ 15,315円 | 100,000円 × 15.315% |
| 源泉徴収税額(住民税) | △ 5,000円 | 100,000円 × 5% |
| 申告分離課税を選択した場合 | 上場株式等の譲渡損失と損益通算可能 | 確定申告により精算 |
7. 試験の重要ポイント
- 利子所得の金額は「収入金額 = 所得金額」(必要経費の控除なし)
- 預貯金の利子は源泉分離課税(20.315%)で課税関係が完結し、確定申告は不可
- 特定公社債等(国債・地方債・上場公社債等)の利子は申告分離課税(申告不要も選択可)
- 特定公社債等を申告分離課税で申告すると、上場株式等の譲渡損失と損益通算・3年繰越控除が可能
- 個人間の貸付金の利子は利子所得ではなく雑所得
- 公社債投資信託(MMF・MRF等)の収益分配金は利子所得(株式投資信託は配当所得)
- 障害者等のマル優は元本350万円まで非課税
- 同族会社の社債利子(一定の株主等が受け取るもの)は総合課税
参考・出典
- 国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1310.htm
- 国税庁「No.1313 障害者等のマル優(非課税貯蓄)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1313.htm
- 国税庁「No.1510 公社債の償還金と税金」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1510.htm
- 国税庁「No.1316 財形住宅貯蓄」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1316.htm
- 国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1300.htm
本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制は毎年改正されることがあります。実際の申告・納税については、最新の税法および国税庁の情報を確認するとともに、税理士等の専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

