金融資産・建物・農地等の評価

CFP

概要

相続税・贈与税の計算では、財産ごとに定められた評価方法で課税価格を算出します。この記事では、宅地評価以外の主要な財産——上場株式・預貯金・公社債などの金融資産、建物(戸建・マンション)、農地・山林——の相続税評価方法を解説します。令和6年(2024年)施行の分譲マンション評価改正も含めた最新の内容です。

預貯金・現金の評価

普通預金・定期預金などの預貯金は、課税時期における残高に、課税時期現在の既経過利子の額から源泉所得税額を控除した金額を加算して評価します。現金は券面額(額面)により評価します。

上場株式の評価

上場株式は、以下の4つの価額のうち最も低い価額で評価します。

価額の種類内容
①課税時期の最終価格(終値)相続開始日(贈与日)の最終取引価格
②課税時期の属する月の終値の月平均額相続開始日が含まれる月の毎日の終値の平均
③前月の終値の月平均額②の前月の毎日の終値の平均
④前々月の終値の月平均額②の前々月の毎日の終値の平均

負担付贈与や個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式は、課税時期の最終価格のみで評価します(4つの価額から選択できません)。

公社債・投資信託の評価

上場している利付公社債は、課税時期の最終価格(または売買参考統計値)に既経過利子相当額を加算して評価します。上場株式投資信託(ETF)は上場株式の評価方法に準じます。公募株式投資信託(非上場)は、課税時期の基準価額から解約手数料および信託財産留保額を控除した価額で評価します。

建物の評価

戸建住宅・アパートなどの建物

建物(家屋)は、固定資産税評価額に1.0倍(倍率1.0)を乗じた金額で評価します。つまり相続税評価額は固定資産税評価額と同額です。貸家の場合は「固定資産税評価額×(1-借家権割合30%×賃貸割合)」で評価します。

区分所有マンションの評価(令和6年改正)

【令和6年(2024年)1月1日以後の相続・贈与から適用】分譲マンション(居住用の区分所有財産)の評価方法が改正されました。従来の相続税評価額(固定資産税評価額ベース)と市場価格の乖離が平均2.34倍に及んでいたことから、「区分所有補正率」を乗じて評価額を補正する新通達が施行されています。

改正後の評価方法:①評価乖離率を計算(A+B+C+D+3.220。A=築年数×△0.033、B=総階数指数(総階数÷33・上限1.0)×0.239、C=所在階×0.018、D=敷地持分狭小度×△1.195)。②評価水準(1÷評価乖離率)が0.6未満なら「評価乖離率×0.6」を補正率として適用(0.6以上1.0以下なら補正なし、1.0超なら「評価乖離率」を適用)。③「従来評価額×区分所有補正率」が最終評価額。

この改正は地上3階建て以上の居住用分譲マンション(1室)が対象です。一棟所有の賃貸マンション・事業用テナント・二世帯住宅(区分所有登記がないもの)などは対象外です。

農地の評価

農地の区分概要評価方法計算式
純農地農用地区域内・市街化調整区域の第1種農地等倍率方式固定資産税評価額×評価倍率
中間農地都市近郊にある農地(第2種農地等)倍率方式固定資産税評価額×評価倍率
市街地周辺農地市街化傾向が強い地域(第3種農地等)宅地比準方式×80%市街地農地として評価した価額×80%
市街地農地市街化区域内・転用許可を受けた農地等宅地比準方式または倍率方式(宅地としての1㎡単価-造成費)×地積

農業相続人(相続後も農業を継続する者)が農地等を相続した場合、一定の要件のもとで「農業相続人が農地等を相続した場合の相続税の納税猶予の特例」が適用できます。農業投資価格による評価との差額に対する相続税が猶予されます。

山林・原野の評価

山林は純山林・中間山林・市街地山林の3種類に区分して評価します。純山林と中間山林は倍率方式、市街地山林は宅地比準方式または倍率方式です。

試験の重要ポイント

金融資産・建物の頻出論点

  • 上場株式は「課税時期の終値・当月平均・前月平均・前々月平均の4つのうち最も低い価額」が基本。負担付贈与の場合は最終価格のみで選択不可
  • 建物(戸建)は「固定資産税評価額×1.0」=固定資産税評価額そのもの。貸家は「固定資産税評価額×(1-借家権割合30%×賃貸割合)」で評価
  • 分譲マンション(令和6年以後)は区分所有補正率による補正が必要。評価水準0.6未満なら補正あり(増額)、0.6以上1.0以下なら補正なし

農地評価の頻出論点

  • 4区分の評価方法:純農地・中間農地は倍率方式、市街地農地は宅地比準方式、市街地周辺農地は「市街地農地として評価した価額×80%」
  • 市街地周辺農地の「80%」は試験頻出の数値
  • 市街地農地の宅地比準方式は「(宅地としての1㎡単価-造成費)×地積」

参考・出典

本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制・法令は毎年改正されることがあります。実際の申告・手続きについては、最新の情報を確認するとともに、税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

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