一部保険の比例てん補計算

📊 この記事の出題頻度:★★★(高)
FP3級との主な違い:一部保険・超過保険・重複保険の違いと各場合の保険金の計算(比例てん補の公式)・実損払いと比例払いの違い・地震保険の補償額計算が加わります。

損害保険の基本原則:実損てん補

損害保険の原則は「実際の損害額だけが補償される」という実損てん補の考え方です。保険金額がどれだけ高くても、実際の損害額を超えて受け取ることはできません(利得禁止の原則)。FP2級ではこの原則の上に成り立つ「一部保険・超過保険・重複保険」の計算が求められます。

保険金額と保険価額の関係

状態定義保険金の計算
全部保険保険金額 = 保険価額損害額を全額補償
一部保険保険金額 < 保険価額(保険が不足)比例てん補(プロラタ方式)
超過保険保険金額 > 保険価額(保険が過剰)実損額のみ補償(超過分の保険料は無意味)

📌 用語の整理
保険価額:保険の目的物(建物・家財など)の時価(実際の価値)
保険金額:契約時に設定した保険金の上限額
損害額:実際に生じた損害の金額

一部保険と比例てん補の計算

一部保険では「保険金額 ÷ 保険価額」の比率で損害額に比例して補償が行われます。これを「比例てん補」または「プロラタ方式」と呼びます。

支払保険金 = 損害額 × (保険金額 ÷ 保険価額)

計算例①:一部保険(比例てん補)

【設例】保険価額2,000万円の建物に、保険金額1,000万円の火災保険を契約。火災で600万円の損害が生じた場合の支払保険金は?

支払保険金 = 600万円 × (1,000万円 ÷ 2,000万円)
= 600万円 × 1/2
300万円

→ 1,000万円の保険金額なのに600万円の損害に対して300万円しか受け取れない。これが一部保険による比例てん補の効果です。

計算例②:全損の場合の上限

【設例】同じ設定で、全損(損害2,000万円)の場合の支払保険金は?

支払保険金 = 2,000万円 × (1,000万円 ÷ 2,000万円)= 1,000万円
→ ただし、保険金額は1,000万円が上限なので 1,000万円(保険金額上限まで)

⚠️ 試験の注意点:比例てん補の計算結果が保険金額を超える場合は、保険金額が上限となります。また、損害が小さい場合(損害額が保険金額×保険価額の比を超えないケース)は損害額全額が支払われる「実損払い条件」の契約もあります。問題文の条件を確認してください。

重複保険

重複保険とは、同一の保険目的・同一の損害に対して2つ以上の保険契約を締結している状態です。

状態支払われる保険金
複数の保険で合計保険金額が保険価額以内各保険会社が契約割合に応じて按分負担(合計は損害額まで)
複数の保険で合計保険金額が保険価額超過実損額しか受け取れない(超過部分は無効)

重複保険の計算例

【設例】保険価額1,000万円の建物にA社(800万円)とB社(400万円)それぞれと火災保険を契約。500万円の損害が発生した場合:

合計保険金額:800万円+400万円=1,200万円 > 保険価額1,000万円(超過保険状態)
支払総額は損害額500万円まで(利得禁止)
A社負担:500万円 × (800万円 ÷ 1,200万円)≒ 333万円
B社負担:500万円 × (400万円 ÷ 1,200万円)≒ 167万円

地震保険の補償額

地震保険は単独では加入できず、火災保険に付帯します。FP2級では保険金額の設定範囲と損害程度の認定が問われます。

項目内容
保険金額の設定範囲主契約(火災保険)の保険金額の30〜50%(建物:5,000万円・家財:1,000万円が上限)
全損地震保険の保険金額の100%
大半損地震保険の保険金額の60%
小半損地震保険の保険金額の30%
一部損地震保険の保険金額の5%

📌 地震保険の保険料は全国一律ではなく、地域(都道府県)と建物の構造(木造・非木造)によって異なります。また、政府と民間保険会社が共同で引き受ける「官民共同方式」です。

FP3級との主な違い

項目FP3級FP2級
一部保険・超過保険概念の理解比例てん補の公式で保険金を計算
重複保険概念のみ各保険会社の負担額を按分計算
地震保険の損害認定4段階の存在各段階の支払割合(100%・60%・30%・5%)

試験対策:よく問われるポイント一覧

  • 一部保険の保険金計算:損害額 × 保険金額 ÷ 保険価額(比例てん補)
  • 超過保険では損害額を超える保険金は受け取れない(利得禁止の原則)
  • 重複保険では各社が按分負担し合計は実損額まで
  • 地震保険は火災保険の付帯のみ(単独加入不可)・主契約の30〜50%の範囲
  • 地震保険の支払割合:全損100%・大半損60%・小半損30%・一部損5%

まとめ

FP2級の損害保険計算の核心は「支払保険金 = 損害額 × 保険金額 ÷ 保険価額」の比例てん補の公式です。一部保険・超過保険・重複保険の区別と、保険金額が上限となることも正確に把握してください。地震保険は主契約の30〜50%の範囲で設定し、損害程度(全損・大半損・小半損・一部損)によって100%・60%・30%・5%が支払われます。

本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制・制度は毎年改正されることがあります。実際の手続き・申告・納税については、最新の法令および公式情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。本記事はFP2級試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

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