不動産所得の損益通算

📊 この記事の出題頻度:★★★(高)
FP3級との主な違い:不動産所得の計算(収入・必要経費の区分)・土地取得利子の除外計算・事業的規模(5棟10室)の判定と影響・修繕費と資本的支出の区別が加わります。

不動産所得の計算式

不動産所得 = 総収入金額 – 必要経費 – (青色申告特別控除額)

総収入金額に含まれるもの・含まれないもの

収入の種類不動産所得への算入
家賃・地代算入(収益として計上)
礼金・更新料(返還しないもの)算入
敷金・保証金(返還するもの)算入しない(預り金)
共益費(管理費等)算入(受取額が収益)

⚠️ 試験頻出:敷金・保証金は将来返還するため、受け取っても収入にはなりません。返還不要が確定した時点で収入に計上します。礼金・更新料は返還しないため、受取時に収入計上します。

必要経費に含まれるもの・含まれないもの

支出の種類必要経費への算入
固定資産税・都市計画税算入可(未払いも発生年に算入)
借入金利子(建物取得分)算入可
借入金利子(土地取得分)算入可(ただし損益通算には使えない部分)
借入金の元金返済算入不可(自己資産の増加)
減価償却費(建物)算入可
修繕費算入可(修繕の性質による)
資本的支出(価値を高める改修)算入不可(減価償却資産として計上)

土地取得利子と損益通算の除外計算

不動産所得の損失のうち、土地取得のための借入金の利子に相当する金額は、必要経費には算入できますが、損益通算に使える損失の計算上は除外されます。

【計算例】
不動産所得の総収入:200万円
必要経費:350万円(うち土地取得利子:60万円)
不動産所得:200万円 – 350万円 = -150万円(損失)

損益通算に使える損失 = 150万円 – 60万円(土地取得利子分)= 90万円
→ 給与所得等と損益通算できるのは90万円のみ

事業的規模(5棟10室基準)の影響

不動産の貸付が「事業的規模」かどうかで、青色申告の恩恵の範囲が変わります。

項目事業的規模(5棟・10室以上)非事業的規模
青色申告特別控除55万円または65万円(e-Tax)10万円
青色事業専従者給与適用可適用不可
損失の全額損益通算可能可能(土地利子除外)
固定資産の資産損失全額必要経費算入所得金額を限度に算入

📌 「5棟10室基準」:独立した家屋5棟以上、またはアパート等の独立した室数が10室以上であれば事業的規模と認定されます(一方だけで基準を満たせばよい)。どちらにも達しない場合でも不動産所得は不動産所得として扱われます(事業所得にはなりません)。

修繕費と資本的支出の区別

修繕費は全額を支出年に必要経費算入できますが、資本的支出(価値を高めたり耐用年数を延長させる改修)は減価償却資産として計上し毎年少しずつ経費に計上します。

  • 修繕費の例:壊れた箇所の現状回復、外壁塗装の塗り直し、設備の取替え
  • 資本的支出の例:部屋の増築・エレベーターの新設・避難階段の取付け

FP3級との主な違い

項目FP3級FP2級
収入の区分家賃が収入の概念礼金・敷金の算入・不算入の判定
土地利子の除外触れない損益通算できる損失額を計算(除外の計算)
事業的規模の影響5棟10室の概念青色申告控除額・専従者給与の適用可否

まとめ

不動産所得の計算では①敷金は収入に含めない(礼金は含める)②土地取得利子は必要経費に算入できるが損益通算計算では除外③事業的規模(5棟10室)で青色申告特別控除が65万円/55万円に拡大する—という3点を正確に理解してください。損益通算できる損失 = 不動産所得の損失 – 土地取得利子、という計算を必ず練習しましょう。

本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制・制度は毎年改正されることがあります。実際の手続き・申告・納税については、最新の法令および公式情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。本記事はFP2級試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

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