1. 概要
第3分野の保険とは、生命保険(第1分野)でも損害保険(第2分野)でもない、病気・ケガ・介護などに備える保険の総称です。医療保険・がん保険・介護保険・就業不能保険などが含まれ、生命保険会社・損害保険会社のいずれも取り扱えます。CFP試験では、各保険の給付条件・免責事由・待機期間・特約の仕組みが頻出論点です。先進医療特約については、令和7年(2025年)1月現在で先進医療技術が70種類を超えており、技術料の全額自己負担という特性と保障の仕組みを正確に理解することが求められます。
2. 医療保険
医療保険の基本的な仕組み
医療保険は、病気やケガで入院・手術を受けた場合に給付金が支払われる保険です。公的医療保険では補えない自己負担分や差額ベッド代などの費用に備えます。
| 給付金の種類 | 内容 |
|---|---|
| 入院給付金 | 入院1日あたり定額(例:5,000円・10,000円)が支払われる。1回の入院・通算の支払限度日数が約款で定められている |
| 手術給付金 | 所定の手術を受けた場合に支払われる。入院給付金日額の10倍・20倍・40倍など給付倍率が設定されている商品が多い |
| 通院給付金 | 入院に伴う前後の通院(または単独の通院)に対して支払われる特約。商品によって支払条件が異なる |
| 退院給付金・療養給付金 | 退院後の療養に備えた一時金を支払う特約 |
定期型と終身型の比較
| 種類 | 保険期間 | 保険料 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 定期型 | 一定期間(例:10年・65歳まで) | 若い時期は割安。更新のたびに上昇 | 更新時に保険料が再計算される。更新上限年齢あり |
| 終身型 | 一生涯 | 契約時から一定 | 保険料は生涯変わらない。同保障内容なら若い時は定期型より高め |
入院給付金の支払限度と免責期間
医療保険の入院給付金には、支払限度日数と免責期間(支払対象外の日数)が設定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1回の入院支払限度日数 | 60日・120日・180日などが一般的(商品により異なる) |
| 通算支払限度日数 | 700日・1,000日など、保険期間を通じた上限が設けられている場合が多い |
| 免責期間(日帰り入院) | 多くの商品で日帰り入院(1日)から給付対象。ただし「1泊2日以上」を条件とする商品もある |
| 同一疾病の継続入院 | 退院後180日(または90日)以内に同一疾病で再入院した場合、継続した1回の入院とみなす商品が多い |
3. がん保険
がん保険の特徴と給付金
がん保険は、がんに特化した保障を提供する保険です。医療保険と異なり、がん以外の病気・ケガは原則として保障対象外となります。
| 給付金の種類 | 内容 |
|---|---|
| がん診断給付金(診断一時金) | がんと診断された時点で一時金が支払われる。100万円・200万円などが一般的。商品によっては2回目以降も支払われる |
| がん入院給付金 | がんによる入院に対して1日あたり定額を支払う。支払日数に上限がない商品が多い(医療保険との大きな違い) |
| がん手術給付金 | がんの手術のたびに支払われる |
| がん通院給付金 | 退院後のがん治療のための通院に対して支払われる。外来化学療法・放射線治療なども対象とする商品が増加 |
| 抗がん剤治療給付金 | 抗がん剤・ホルモン剤による治療を受けた月に給付金を支払う特約 |
待機期間(免責期間)
⚠️ がん保険の待機期間は試験頻出
がん保険には契約日から原則90日間(3か月)の待機期間が設けられています。この期間中にがんと診断された場合、診断給付金は支払われず、契約は無効(告知義務違反ではなく制度上の無効)となります。待機期間経過後に診断された場合のみ保障の対象となります。
がん保険の注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 上皮内新生物の扱い | 一般に浸潤がんより給付額が低く設定されている(または対象外)の商品がある。約款の確認が必要 |
| 保険料控除の区分 | 医療保険・がん保険の保険料は介護医療保険料控除(2012年1月1日以降契約)の対象 |
| 入院日数の上限 | がん入院給付金は支払日数無制限の商品が多いが、確認が必要 |
4. 介護保険(民間)
民間介護保険の概要
民間の介護保険は、公的介護保険制度を補完する目的で加入するものです。寝たきりや認知症など所定の要介護状態が一定期間継続した場合に給付金が支払われます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支払条件 | 公的介護保険の要介護認定を条件とする「連動型」と、保険会社独自の基準による「非連動型」がある |
| 給付形態 | 一時金型(介護状態になった時点で一括給付)と年金型(毎年・毎月定額を受け取る)がある |
| 支払開始条件 | 所定の要介護状態が90日間継続など、一定期間継続することを条件とする商品が多い |
| 保険料控除 | 介護医療保険料控除(2012年1月1日以降契約)の対象 |
5. 生前給付型保険・特約
生前給付型保険とは
生前給付型保険とは、被保険者の死亡前に一定の条件を満たした場合に保険金・給付金が支払われる保険の総称です。リビング・ニーズ特約や特定疾病保障保険が代表例です。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 特定疾病保障保険(三大疾病保険) | がん・急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病と診断された場合に死亡保険金と同額の保険金が生前に支払われる。保険金受取後は契約消滅 |
| リビング・ニーズ特約 | 余命6か月以内と診断された場合、死亡保険金の全部または一部(最大3,000万円)を生前に請求できる特約。保険料の追加負担なしで付加できる |
| 就業不能保険(所得補償保険) | 病気・ケガで就業不能状態になった場合、月額給付金が支払われる。自営業者・フリーランスなどに特に有効 |
📌 リビング・ニーズ特約の注意点
・生前に受け取った保険金には非課税(死亡保険金として扱われない)の取り扱いがある
・受取後6か月以内に被保険者が死亡した場合、残余金は相続財産となる
・保険料の追加負担なしで付加できる特約として試験頻出
6. 先進医療特約
先進医療とは
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度な医療技術を用いた療養のうち、公的医療保険の対象とするかを評価している段階にある治療・手術等(評価療養)です。令和7年(2025年)1月現在、先進医療は約70種類が認められており、内容は随時見直されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 技術料の負担 | 先進医療の技術料は全額自己負担(公的医療保険の対象外) |
| 一般診療との共通部分 | 診察料・検査料・投薬料・入院料等は公的医療保険が適用される(混合診療の特例) |
| 高額療養費制度との関係 | 保険診療部分は高額療養費制度の対象。先進医療の技術料部分は対象外 |
| 実施機関の限定 | 厚生労働省に届け出た医療機関のみで実施可能。医療技術ごとに実施機関が限定される |
| 代表的な先進医療 | 陽子線治療・重粒子線治療(1件あたり平均技術料300万円前後)など |
先進医療特約の仕組み
先進医療特約は、医療保険やがん保険の主契約に付加する特約で、先進医療を受けた際の技術料相当額が給付されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 給付額 | 先進医療の技術料相当額(実費)。上限額が設定されている場合がある |
| 対象となる時期 | 療養を受けた時点で先進医療として認められていることが条件。契約時に先進医療だった技術でも保険適用になれば対象外 |
| 契約後の新技術 | 契約後に新たに認められた先進医療も対象となる |
| 医療保険 vs がん保険への付加 | 医療保険への付加:すべての病気・ケガの先進医療が対象。がん保険への付加:がん治療目的のみが対象 |
⚠️ 先進医療特約の対象判定は「療養を受けた時点」が基準
契約時点で先進医療に指定されていた技術でも、治療を受ける時点で公的医療保険の対象となっていた場合は先進医療給付金の対象外となります。逆に、契約後に新たに先進医療に指定された技術は給付対象となります。
7. その他の保険・各種特約
主な特約の種類
| 特約の種類 | 内容 |
|---|---|
| 保険料払込免除特約 | 所定の重度障害・三大疾病・要介護状態になった場合、以後の保険料払込が免除される |
| 災害割増特約 | 不慮の事故(災害)による死亡・高度障害に対して、主契約の死亡保険金に上乗せして保険金が支払われる |
| 傷害特約 | 不慮の事故による死亡・所定の身体障害に対して保険金・給付金が支払われる |
| 女性疾病特約 | 女性特有の疾病(乳がん・子宮筋腫等)による入院に対して入院給付金が上乗せされる |
| 先進医療特約 | 先進医療の技術料相当額を給付(上記参照) |
| 患者申出療養特約 | 患者申出療養制度(未承認薬等の使用を患者が申し出る制度)を受けた際の費用を保障する特約 |
不慮の事故の定義
災害割増特約・傷害特約等における「不慮の事故」とは、急激・偶発的・外来の3要件を満たす事故をいいます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 急激性 | 事故の原因から結果まで時間的間隔がないこと(慢性的・継続的ではないこと) |
| 偶発性 | 被保険者の意思によらない偶然の事故であること(故意・自傷は対象外) |
| 外来性 | 身体の外部からの作用による事故であること(疾病・体内原因は対象外) |
8. 試験の重要ポイント
- 第3分野の保険は生命保険・損害保険両社が取り扱い可能
- がん保険の待機期間は原則90日(3か月)。待機期間中の診断は契約無効
- がん入院給付金は支払日数無制限の商品が多い(医療保険との違い)
- 医療保険・がん保険・介護保険の保険料は介護医療保険料控除(2012年以降契約)の対象
- リビング・ニーズ特約は追加保険料なしで付加可能。余命6か月以内の診断が条件
- 先進医療の技術料は全額自己負担。一般診療部分には公的医療保険が適用される
- 先進医療特約の対象判定は療養を受けた時点が基準。契約後に認定された技術も対象
- 不慮の事故の3要件:急激・偶発・外来(すべてを満たすことが必要)
- 三大疾病保険は保険金受取後に契約消滅。死亡保険金と同額の保険金が生前に支払われる
参考・出典
- 公益財団法人 生命保険文化センター「先進医療とは?」https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1204.html
- 厚生労働省「先進医療の概要について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/
- 国税庁「介護医療保険料控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1127.htm
- e-Gov法令検索「保険業法」https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105
本記事は令和7年(2025年)時点の法令および制度に基づき作成しています。保険業法・保険法は改正されることがあります。実際の保険契約・手続きについては、最新の法令および金融庁の情報を確認するとともに、専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

