1. 概要
配当所得とは、株式や出資の配当、投資信託の収益分配金などから生じる所得です。給与所得と異なり、受け取り方や課税方式の選択によって税負担が大きく変わるため、タックスプランニングの観点から非常に重要なテーマです。
上場株式等の配当所得には「申告不要」「申告分離課税」「総合課税」の3つの課税方式があり、納税者が有利な方式を選択できます。CFP試験においても配当控除の計算や課税方式の選択判断は頻出です。
2. 所得の定義
所得税法第24条において、配当所得は次のとおり定義されています。
配当所得とは、法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、投資信託の収益の分配などに係る所得をいう。(所得税法第24条第1項)
配当所得金額 = 収入金額(配当金)- 負債の利子
※負債の利子とは、株式取得のために借り入れた借入金の利子です。該当しない場合は収入金額がそのまま配当所得金額となります。
3. 該当する収入・該当しない収入
配当所得に該当する主な収入
- 上場株式・非上場株式の剰余金の配当
- 協同組合等からの利益の配当
- 公募株式投資信託・ETFの収益分配金
- J-REIT(不動産投資信託)の分配金
配当所得に該当しない主な収入
- 公社債投資信託の収益分配金 → 利子所得
- 株式・投資信託の譲渡益 → 譲渡所得
- NISA口座内の配当・分配金 → 非課税
4. 源泉徴収税率
上場株式等の配当金は、支払い時に源泉徴収されます。源泉徴収された税額は、課税方式の選択に応じて確定申告で精算するか、そのまま課税関係を終了させることができます。
| 区分 | 所得税(復興特別所得税含む) | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 上場株式等の配当 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 非上場株式の配当(少額) | 20.42% | なし | 20.42% |
5. 課税方式の選択(上場株式等)
上場株式等の配当所得については、以下の3つの課税方式から選択することができます。
① 申告不要制度
源泉徴収された20.315%で課税関係を終了させる方法です。確定申告は不要です。他の所得と合算されないため、国民健康保険料・介護保険料・各種給付の判定に影響しません。課税所得が高く税率が高い方や、保険料等への影響を避けたい方に向いています。
② 申告分離課税
他の所得と分離して、一律20.315%で申告する方法です。上場株式等の譲渡損失との損益通算ができ、損失の3年間の繰越控除も利用できます。株式の譲渡損失がある場合に有効な選択肢です。
③ 総合課税
他の所得と合算して累進税率で申告する方法です。配当控除を受けることができます。課税所得が低く限界税率が低い場合、源泉徴収税率(20.315%)を下回る税負担になることがあります。
⚠️ 課税方式選択の注意点:
総合課税を選択すると合計所得金額が増加します。配偶者控除・扶養控除の適用可否、国民健康保険料、介護保険料、高額療養費の自己負担限度額などにも影響するため、税額だけでなく総合的に判断することが必要です。
📌 所得税と住民税で異なる課税方式を選択することが可能です(2024年分以降は確定申告書への記載方法で選択)。
6. 配当控除
総合課税を選択した場合、法人段階での課税と個人段階での課税による二重課税を調整するため、「配当控除」が適用できます。税額控除であるため、所得控除と異なり税額から直接差し引かれます。
配当控除率
| 区分 | 課税総所得等が1,000万円以下の部分 | 課税総所得等が1,000万円超の部分 |
|---|---|---|
| 所得税の配当控除率 | 10% | 5% |
| 住民税の配当控除率 | 2.8% | 1.4% |
配当控除が適用できないもの
- 外国法人からの配当(外国株式の配当)
- 外国株式を主な投資対象とする投資信託の収益分配金
- 申告分離課税または申告不要を選択した場合
7. 計算例
【例①】課税総所得金額800万円(うち配当所得150万円)
| 項目 | 金額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 課税総所得金額 | 800万円 | 1,000万円以下のため控除率10% |
| 配当控除額(所得税) | 15万円 | 150万円 × 10% |
【例②】課税総所得金額1,200万円(うち配当所得300万円)
| 項目 | 金額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下に対応する配当所得 | 100万円 | 300万円 - 200万円(超過部分) |
| 1,000万円超に対応する配当所得 | 200万円 | 1,200万円 - 1,000万円 |
| 配当控除額(所得税) | 20万円 | 100万円 × 10% + 200万円 × 5% |
8. 課税方式の選択基準
| 課税所得の目安 | 所得税の限界税率 | 有利な課税方式の目安 |
|---|---|---|
| 〜330万円以下 | 10% | 総合課税(配当控除後の実質税率が低くなる) |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 総合課税 or 申告分離課税(状況に応じて判断) |
| 695万円超〜 | 23%以上 | 申告不要 or 申告分離課税が有利になる場合が多い |
9. 試験の重要ポイント
- 配当所得金額は「収入金額 - 負債の利子」で計算する
- 上場株式等の源泉徴収税率は20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)
- 課税方式は「申告不要」「申告分離課税」「総合課税」の3つから選択できる
- 申告分離課税を選択すると譲渡損失との損益通算・3年間の繰越控除が可能
- 配当控除の控除率は課税総所得1,000万円を境に変わる(所得税:10%→5%、住民税:2.8%→1.4%)
- 外国株式の配当には配当控除は適用されない
- 総合課税の選択は合計所得金額を増加させ、各種控除・社会保険料等に影響する
参考・出典
- 国税庁「No.1330 配当所得」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1330.htm
- 国税庁「No.1250 配当所得があるとき(配当控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1250.htm
- 国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1331.htm
本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制は毎年改正されることがあります。実際の申告・納税については、最新の税法および国税庁の情報を確認するとともに、税理士等の専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

