1. 概要
所得税は、納税者が自ら1年間の所得と税額を計算し、税務署に申告・納付する「申告納税制度」を採用しています。確定申告・予定納税・源泉徴収・年末調整がこの制度の主な仕組みであり、CFP試験では各手続きの期限・対象者・方法の把握が求められます。
2. 確定申告
申告期間と納付期限
| 区分 | 期間・期限 |
|---|---|
| 確定申告書の提出期間 | 翌年2月16日 〜 3月15日 |
| 所得税の納付期限 | 翌年3月15日 |
| 還付申告の提出可能期間 | 翌年1月1日 〜 5年間 |
| 振替納税の振替日 | 翌年4月下旬(年により異なる) |
確定申告が必要な主な人
以下のいずれかに該当する人は、原則として確定申告をしなければなりません。
| 対象者 | 内容 |
|---|---|
| 事業所得・不動産所得がある人 | 個人事業主・フリーランス・不動産オーナー等 |
| 給与収入が2,000万円超の人 | 年末調整だけでは精算できないため |
| 給与を2か所以上から受けている人 | 主たる給与以外の給与が20万円超の場合 |
| 給与所得・退職所得以外の所得が20万円超の人 | 副業・投資収益等 |
| 同族会社の役員等で会社から貸付金の利子等を受けている人 | 総合課税対象となるため |
| 土地・建物を譲渡した人 | 申告分離課税の対象。原則確定申告が必要 |
| 株式等を譲渡した人(特定口座・源泉徴収なし、または一般口座) | 申告分離課税の対象。確定申告が必要 |
| 株式等を譲渡した人(特定口座・源泉徴収あり) | 原則確定申告不要。ただし複数口座間の損益通算・繰越控除を行う場合は申告が必要 |
| 外国税額控除を受ける人 | 年末調整では控除しきれない場合 |
確定申告が不要な主なケース(給与所得者)
📌 以下をすべて満たす給与所得者は確定申告不要です。
① 給与の収入金額が2,000万円以下
② 給与を1か所のみから受けており全額源泉徴収されている
③ 給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下
年金受給者の確定申告不要制度
公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合は、確定申告不要制度が適用されます(ただし、住民税の申告は別途必要となる場合があります)。
還付申告
確定申告の義務がない人でも、源泉徴収された税額や予定納税額が年間の所得税額より多い場合は、確定申告(還付申告)をすることで納め過ぎの税金の還付を受けられます。還付申告書は確定申告期間とは関係なく、翌年1月1日から5年間提出できます。
| 還付申告が可能な主なケース |
|---|
| 年の途中で退職し、年末調整を受けていない |
| 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を初めて受ける |
| 多額の医療費を支払い、医療費控除を受ける |
| 特定の寄附金(ふるさと納税等)について寄附金控除を受ける |
| 雑損控除を受ける(災害・盗難等による損失) |
3. 準確定申告
納税者が死亡した場合、相続人は被相続人のその年の1月1日から死亡日までの所得について確定申告(準確定申告)を行う必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出期限 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 |
| 申告義務者 | 相続人全員(または相続人の代表者) |
| 対象期間 | その年の1月1日から死亡日まで |
4. 予定納税
予定納税とは、前年の所得税額(予定納税基準額)が15万円以上の納税者が、その年の所得税の一部を前払いする制度です。確定申告時の納税負担を分散するとともに、国の税収を安定させる目的があります。
予定納税の仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 予定納税基準額が15万円以上の人 |
| 予定納税基準額 | 原則として前年分の申告納税額(復興特別所得税を含む) |
| 各回の納付額 | 予定納税基準額の1/3(第1期・第2期それぞれ) |
| 第1期分の納付期限 | 7月1日 〜 7月31日 |
| 第2期分の納付期限 | 11月1日 〜 11月30日 |
| 通知書の送付時期 | 6月15日までに税務署から「予定納税等通知書」が送付 |
📌 予定納税の精算
第1期・第2期に納付した予定納税額の合計は、翌年の確定申告で年間の税額と精算します。予定納税額が確定税額を上回った場合は還付、下回った場合は「第3期分(確定申告時)」として追加納付します。
予定納税の減額申請
廃業・休業・業況不振・災害などで当年の所得が前年より大幅に減少し、申告納税見積額が予定納税基準額を下回ると見込まれる場合、減額申請をすることができます。
| 申請区分 | 申請期限 | 見積基準日 |
|---|---|---|
| 第1期・第2期分の両方を減額申請 | 7月1日 〜 7月15日 | その年の6月30日現在の状況 |
| 第2期分のみ減額申請 | 11月1日 〜 11月15日 | その年の10月31日現在の状況 |
5. 源泉徴収と年末調整
源泉徴収制度
源泉徴収とは、給与・報酬・利子・配当などを支払う者(源泉徴収義務者)が、その支払いの際に所得税を差し引いて国に納付する制度です。これにより、受け取る側は税金の納付手続きを省略できます。
| 源泉徴収の対象 | 納付期限 |
|---|---|
| 毎月の給与・賞与等(原則) | 支払い月の翌月10日まで |
| 給与等(納期の特例※) | 1〜6月分:7月10日まで 7〜12月分:翌年1月20日まで |
※ 給与の支払いを受ける従業員が常時10人未満の事業所は、納期の特例の承認を受けることができます。
年末調整
年末調整とは、給与所得者について、1年間に源泉徴収された税額の合計と、正しい年税額とを比較して過不足を精算する手続きです。勤務先が本人に代わって行います。
| 年末調整の対象となる主な控除 |
|---|
| 基礎控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・障害者控除等 |
| 生命保険料控除・地震保険料控除 |
| 小規模企業共済等掛金控除(iDeCo等) |
| 住宅借入金等特別控除(2年目以降) |
⚠️ 年末調整で対応できない主な控除
・医療費控除・雑損控除・寄附金控除(ふるさと納税の確定申告方式)は年末調整では適用できず、確定申告が必要です。
・住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で対応できます。
6. 納付方法
所得税の納付方法は複数あります。確定申告書の提出と同時に選択し、期限内に確実に納付することが重要です。
| 納付方法 | 概要 |
|---|---|
| 振替納税 | 指定口座から自動引き落とし。確定申告の期限(3月15日)より約1か月後の4月下旬に引き落とし。事前に手続きが必要 |
| e-Taxによるダイレクト納付 | e-Tax経由で登録口座から即時または指定日に引き落とし |
| インターネットバンキング | e-Taxを通じてオンライン納付 |
| クレジットカード納付 | 国税クレジットカードお支払いサイトで納付(決済手数料あり) |
| スマホアプリ納付 | Pay払い等のキャッシュレス決済(30万円以下) |
| コンビニ納付(QRコード) | 確定申告書等作成コーナーで作成したQRコードを使用(30万円以下) |
| 税務署・金融機関の窓口 | 納付書を使って直接窓口で納付 |
7. 期限後申告・修正申告・更正の請求
| 手続きの種類 | 内容 | 加算税・延滞税 |
|---|---|---|
| 期限後申告 | 申告期限(3月15日)を過ぎてから申告 | 無申告加算税(原則15%、納税額50万円超部分は20%)+延滞税 |
| 修正申告 | 申告後に税額を少なく申告していたことに気づき修正 | 過少申告加算税(原則10%)+延滞税。税務調査後は加重 |
| 更正の請求 | 申告後に税額を多く申告していた(過払い)場合に還付を求める | なし(期限:申告期限から5年以内) |
⚠️ 税務調査後の修正申告は加算税が重くなる
税務署から調査の通知を受けた後に修正申告をすると、過少申告加算税(10%)または重加算税(35%)が課されます。意図的な隠蔽・仮装があった場合は重加算税(無申告の場合は40%)が課されます。申告誤りに気づいた場合は、調査前に速やかに修正申告を行うことが重要です。
8. 試験の重要ポイント
- 確定申告の提出期間は翌年2月16日〜3月15日、納付期限も3月15日
- 還付申告は翌年1月1日から5年間提出可能(確定申告期間とは無関係)
- 給与所得者の確定申告不要の要件:1か所からの給与・収入2,000万円以下・他の所得20万円以下
- 公的年金受給者の申告不要:年金収入400万円以下かつ他の所得20万円以下
- 準確定申告の提出期限は相続開始を知った日の翌日から4か月以内
- 予定納税の対象は予定納税基準額が15万円以上の人
- 予定納税の納付は各回1/3ずつ、第1期は7月末・第2期は11月末
- 予定納税の減額申請:第1期・第2期分は7月15日まで、第2期分のみは11月15日まで
- 医療費控除・雑損控除・寄附金控除は年末調整不可・確定申告が必要
- 更正の請求の期限は申告期限から5年以内
参考・出典
- 国税庁「No.2020 確定申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm
- 国税庁「No.2030 還付申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
- 国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
- 国税庁「No.2040 予定納税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2040.htm
- 国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm
- 国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制は毎年改正されることがあります。実際の申告・納税については、最新の税法および国税庁の情報を確認するとともに、税理士等の専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

