個人住民税(地方税)

CFP

1. 概要

個人住民税(地方税)を理解するには、まず「住民税」と「事業税」がそれぞれ個人(自然人)向け法人向けに別々に存在することを整理しておく必要があります。

税の種類納税者税の名称課税主体
住民税個人(自然人)個人住民税(道府県民税+市町村民税) ←本記事都道府県・市区町村
法人法人住民税(道府県民税+市町村民税)都道府県・市区町村
事業税個人(自然人)個人事業税都道府県
法人法人事業税都道府県

個人住民税(地方税)は、都道府県が課す「道府県民税」と市区町村が課す「市町村民税」を合わせた税です。前年の所得に対して課税される「前年所得課税」が原則で、1月1日現在の住所地の自治体に納めます。所得税と異なり税率はほぼ一律のため、所得税との違いをしっかり整理することがCFP試験の重要論点です。

2. 個人住民税の種類と税率

区分所得割均等割
道府県民税4%1,000円
市町村民税6%3,000円
合計10%4,000円

📌 個人住民税の2つの課税方式
所得割:前年の所得金額に応じて課税(税率一律10%)
均等割:所得にかかわらず定額を課税(年額4,000円)

※令和5年度まで均等割に「森林環境税」として年500円が上乗せされていましたが、令和6年度から国税として「森林環境税」(年1,000円)が別途徴収されています。

3. 所得税との主な違い

項目所得税個人住民税
課税対象年その年の所得(現年課税)前年の所得(前年所得課税)
税率5%〜45%(超過累進税率)一律10%(所得割)
税の種類国税地方税
納付先国(税務署)住所地の都道府県・市区町村
基礎控除58万円(令和7年分)43万円(改正なし)
申告・徴収方法確定申告・源泉徴収・年末調整特別徴収(給与天引き)・普通徴収

⚠️ 令和7年度税制改正と住民税の適用時期
所得税と住民税では改正の適用時期が異なります。

基礎控除:所得税は令和7年分から58万円に引き上げ。住民税は改正なし(43万円のまま)
給与所得控除の最低保障額:所得税は令和7年分から65万円。住民税は令和8年度分(令和7年分所得)から65万円に引き上げ
扶養控除等の所得要件:所得税は令和7年分から58万円以下。住民税は令和8年度分から58万円以下に引き上げ
特定親族特別控除:所得税は令和7年分から創設。住民税は令和8年度分から適用

4. 住民税の所得控除

住民税の所得控除は所得税と同じ種類ですが、控除額が異なります。主な控除額の比較は以下のとおりです。

所得控除の種類所得税住民税
基礎控除58万円(令和7年分)43万円
配偶者控除(一般)38万円33万円
配偶者控除(老人)48万円38万円
扶養控除(一般)38万円33万円
扶養控除(特定:19〜22歳)63万円45万円
特定親族特別控除
(19〜22歳・令和8年度分から)
最大63万円(逓減)最大45万円(逓減・控除額は所得税と異なる)
扶養控除(老人:70歳以上)48万円38万円
扶養控除(同居老親)58万円45万円
障害者控除27万円26万円
特別障害者控除40万円30万円
同居特別障害者控除75万円53万円
寡婦控除27万円26万円
ひとり親控除35万円30万円
勤労学生控除27万円26万円
社会保険料控除支払額全額支払額全額(同じ)
生命保険料控除(新契約・各区分上限)各4万円・合計12万円2.8万円・合計7万円
地震保険料控除最大5万円最大2万5,000円

📌 住民税の特定親族特別控除額(令和8年度分から・親族の合計所得金額別)
58万円超95万円以下:45万円
95万円超100万円以下:41万円
100万円超105万円以下:31万円
105万円超110万円以下:21万円
110万円超115万円以下:11万円
115万円超120万円以下:6万円
120万円超123万円以下:3万円

所得税の特定親族特別控除(最大63万円)とは控除額の区分・金額ともに異なります。また、特定親族特別控除の適用を受ける親族は扶養人数には含まれないため、住民税の非課税基準の計算にも影響しません。

前年の所得が一定以下の場合、住民税(所得割・均等割)が非課税となります。

非課税の区分要件
所得割・均等割ともに非課税生活保護法による生活扶助を受けている者
障害者・未成年者・寡婦・ひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下
均等割・所得割ともに非課税(所得基準)前年の合計所得金額が35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族の数)+10万円以下
(扶養親族等がいない場合:45万円以下)
所得割のみ非課税前年の総所得金額等が35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族の数)+32万円以下
(扶養親族等がいない場合:45万円以下)

6. 住民税の申告と納付方法

申告

所得税の確定申告をした場合は、原則として住民税の申告は不要です(確定申告のデータが市区町村に通知されます)。ただし、所得税の確定申告が不要な給与所得者でも、給与以外の所得がある場合は住民税の申告が必要になることがあります。

納付方法

納付方法対象者内容
特別徴収給与所得者勤務先が毎月の給与から天引きして納付。6月〜翌年5月の12回払い
普通徴収個人事業主・農業所得者等市区町村から送付される納税通知書で納付。年4回(6月・8月・10月・翌年1月)
公的年金からの特別徴収65歳以上の年金受給者年金支払い時に天引き。4月・6月・8月・10月・12月・翌年2月の6回

📌 住民税は「後払い」に注意
住民税は前年所得に対して課税されるため、退職した年は前年分の住民税が翌年に請求されます。特に会社を辞めた場合、特別徴収から普通徴収に切り替わり、まとまった金額の請求が来ることがあります。退職後の資金計画に注意が必要です。

7. 配当控除・住宅ローン控除の住民税への影響

配当控除(住民税)

区分所得税住民税
課税総所得金額等が1,000万円以下の部分10%2.8%
課税総所得金額等が1,000万円超の部分5%1.4%

住宅ローン控除(住民税)

住宅ローン控除は所得税から控除しきれない場合、一定額を住民税からも控除できます。住民税からの控除限度額は、所得税の課税総所得金額等の5%(最大97,500円)です。

8. 試験の重要ポイント

  • 住民税は前年所得課税。所得税は現年課税。退職・廃業した翌年も前年分の住民税が課税される
  • 所得割の税率は一律10%(道府県民税4%+市町村民税6%)。均等割は年額4,000円
  • 住民税の基礎控除は43万円。令和7年度改正で所得税の基礎控除が58万円に上がっても住民税は変更なし
  • 令和7年度改正の住民税への適用は令和8年度分(令和7年分所得)から。給与所得控除の最低保障額65万円・扶養控除等の所得要件58万円・特定親族特別控除が対象。所得税より1年遅れ
  • 住民税の特定親族特別控除(令和8年度分から):親族の合計所得金額58万円超123万円以下で最大45万円(逓減)。所得税の最大63万円とは控除額が異なる
  • 所得控除額は所得税より住民税の方が低い。生命保険料控除の上限は住民税7万円(所得税12万円)
  • 給与所得者は特別徴収(6月〜翌年5月の12回天引き)。個人事業主は普通徴収(年4回)
  • 所得税の確定申告をすれば、原則として住民税の申告は不要
  • 配当控除の住民税率:課税所得1,000万円以下の部分は2.8%、1,000万円超は1.4%
  • 住宅ローン控除の住民税からの控除限度額:課税総所得金額等の5%(最大97,500円)
  • 住民税の課税判定は1月1日現在の住所地の自治体。年途中の転居でも1月1日時点の住所地で課税

参考・出典

  • 総務省「個人住民税」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/ichiran02.html
  • 国税庁「No.1200 税額控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1200.htm
  • 国税庁「No.1234 転勤と住民税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1234.htm

本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制は毎年改正されることがあります。実際の申告・納税については、最新の税法および国税庁・総務省の情報を確認するとともに、税理士等の専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

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