不動産の保有にかかる税金

CFP

1. 概要

不動産を保有している間は、毎年継続的に税金が課されます。主なものとして、土地・建物に課される「固定資産税」と、市街化区域内の土地・建物に課される「都市計画税」があります。また、定期借地権を設定して保証金を受け取った地主(貸主)側の課税関係も重要テーマです。令和8年度(2026年度)税制改正では新築住宅の固定資産税軽減措置の延長・要件緩和が行われており、最新内容の把握が求められます。

2. 固定資産税

(1)概要

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)現在に土地・家屋・償却資産を所有している者に課される市区町村税(地方税)です。東京23区内では都が課税します。

項目内容
課税主体市区町村(東京23区は東京都)
賦課期日毎年1月1日
課税標準固定資産税評価額(時価のおおむね70%水準)
標準税率1.4%(各市区町村が条例で変更可)
評価替え3年に1度(基準年度)。令和6年度(2024年度)が基準年度
納付方法納税通知書により年4回(4月・7月・12月・翌年2月が目安)または一括払い

(2)住宅用地の特例(恒久措置)

居住用の建物が建っている土地(住宅用地)については、課税標準を大幅に軽減する恒久的な特例措置が設けられています。

区分対象面積(1戸あたり)固定資産税の課税標準
小規模住宅用地200㎡以下の部分評価額の 1/6
一般住宅用地200㎡超の部分(家屋の床面積の10倍が上限)評価額の 1/3

📌 住宅用地の特例の計算例
敷地300㎡の一戸建てで固定資産税評価額が3,000万円の場合:
・小規模住宅用地(200㎡分):3,000万円 × 200/300 × 1/6 = 333万円(課税標準)
・一般住宅用地(100㎡分):3,000万円 × 100/300 × 1/3 = 333万円(課税標準)
・課税標準合計:666万円 → 固定資産税:666万円 × 1.4% = 約9.3万円
(特例がなければ:3,000万円 × 1.4% = 42万円)

(3)新築住宅の税額軽減措置【令和8年度改正で延長・要件緩和】

新築住宅の建物部分については、一定期間、固定資産税額(居住部分120㎡相当分まで)が1/2に減額される特例があります。令和8年度(2026年度)税制改正により適用期限が令和10年(2028年)3月31日まで延長され、床面積要件の下限が緩和されました。

住宅の種別減額期間減額割合
一般住宅(木造等)新築後3年間税額の1/2(120㎡相当分まで)
中高層耐火・準耐火建築物(マンション等3階建て以上)新築後5年間税額の1/2(120㎡相当分まで)
認定長期優良住宅(一般住宅)新築後5年間税額の1/2(120㎡相当分まで)
認定長期優良住宅(マンション等耐火建築物)新築後7年間税額の1/2(120㎡相当分まで)

⚠️ 令和8年度改正の主な変更点(試験対策)
①適用期限:令和8年(2026年)3月31日まで → 令和10年(2028年)3月31日までに2年延長
②床面積要件の下限:原則50㎡以上 → 原則40㎡以上に緩和
③一定のハザードエリア(土砂災害特別警戒区域等の区域内で、都市再生特別措置法に基づく市町村長による勧告に従わないで建設された住宅)は対象外
④なお、新築住宅特例は固定資産税のみが対象で、都市計画税は対象外

(4)改修工事に係る軽減措置(令和8年3月31日まで)

一定の改修工事を行った既存住宅についても、翌年度の固定資産税が軽減される措置があります(いずれも令和8年3月31日まで)。

改修の種類軽減内容主な要件
バリアフリー改修翌年度分の税額を1/3減額新築後10年以上・65歳以上や要介護・障害者が居住・工事費50万円超・賃貸以外
省エネ改修翌年度分の税額を1/3減額平成26年4月1日以前の新築・窓の断熱改修工事が必須・工事費60万円超等
耐震改修翌年度分の税額を1/2減額昭和57年(1982年)1月1日以前の建築・現行耐震基準への適合改修
長期優良住宅化リフォーム翌年度分の税額を2/3減額耐震改修または省エネ改修により長期優良住宅の認定を取得

(5)マンション長寿命化促進税制

管理計画認定を受けたマンションが一定の長寿命化工事(大規模修繕工事等)を実施した場合、工事完了翌年度の固定資産税が減額される制度です。

項目内容
対象マンション20年以上かつ10戸以上の区分所有マンション(管理計画認定取得)
減額割合翌年度の固定資産税を1/6〜1/2減額
適用対象工事令和5年(2023年)4月1日〜令和9年(2027年)3月31日までの間に実施した工事

3. 都市計画税

(1)概要

都市計画税は、都市計画事業・土地区画整理事業の費用に充てるための目的税で、市街化区域内の土地・建物にのみ課税されます。市街化調整区域は課税されません。

項目内容
課税主体市区町村(東京23区は東京都)
課税対象市街化区域内の土地・建物のみ
賦課期日毎年1月1日(固定資産税と同じ)
課税標準固定資産税評価額
制限税率0.3%(上限。多くの市区町村で0.3%を採用)
納付固定資産税と合わせて納付通知書で納付

(2)住宅用地の特例(恒久措置)

固定資産税と同様に、住宅用地については都市計画税の課税標準も軽減されます。

区分対象面積(1戸あたり)都市計画税の課税標準
小規模住宅用地200㎡以下の部分評価額の 1/3
一般住宅用地200㎡超の部分評価額の 2/3

⚠️ 固定資産税と都市計画税の住宅用地特例の比較(必須暗記)
       固定資産税   都市計画税
小規模住宅用地(〜200㎡):1/6     1/3
一般住宅用地(200㎡超) :1/3     2/3
新築住宅の税額軽減:あり(3年〜7年・1/2) なし

(3)固定資産税・都市計画税の総合比較

比較項目固定資産税都市計画税
課税主体市区町村市区町村
課税対象区域全国の土地・家屋・償却資産市街化区域内の土地・家屋のみ
税率標準税率 1.4%制限税率 0.3%(上限)
小規模住宅用地の軽減評価額の 1/6評価額の 1/3
一般住宅用地の軽減評価額の 1/3評価額の 2/3
新築住宅の税額軽減あり(3〜7年・1/2)なし
税の性質普通税目的税

4. 定期借地権の保証金に係る課税

(1)保証金の課税関係の基本

定期借地権を設定した地主(貸主)が借地人(借り手)から保証金を受け取った場合、保証金そのものは将来返還する債務(預かり保証金)として課税されません。ただし、その保証金を運用して経済的利益を得た場合には、運用方法によって課税関係が生じます。

(2)保証金の運用方法別の課税関係

運用方法課税関係
①不動産所得・事業所得の運転資金として運用した場合経済的利益の額を不動産所得の総収入金額に算入するとともに、同額を必要経費に算入。課税関係は実質ゼロ
②預貯金・公社債・指定金銭信託・貸付信託などの金融資産に運用した場合経済的利益の計算は不要。課税なし(ただし運用で生じた利子等には別途課税)
③上記①②以外の方法で運用した場合(例:株式・不動産購入など)経済的利益の額を不動産所得の総収入金額に算入(課税あり)

(3)経済的利益の計算方法

上記③に該当する場合、保証金の経済的利益の額は以下の算式で計算します。

📌 経済的利益の計算式
経済的利益の額 = 保証金の額 × 10年長期国債の平均年利率
(約定利率がある場合:経済的利益 = 保証金 ×(10年長期国債の平均年利率 − 約定利率)× 保証金預託期間)

(4)権利金・前払地代の課税関係

定期借地権の設定に際して受け取る一時金には、保証金以外にも権利金・前払地代があり、それぞれ課税関係が異なります。

一時金の種類返還の有無課税関係(個人地主の場合)
保証金あり(返還要)受取時は課税なし。経済的利益に応じて課税(前述)
権利金なし(返還不要)受取時に不動産所得として課税(臨時所得として平均課税の選択可)。権利金が土地の時価の50%超の場合は譲渡所得として課税
前払地代(一括前払い)なし(返還不要)権利金には該当せず、定期借地権の期間にわたって均等に収入計上(毎年不動産所得)

5. 固定資産税の計算例

CFP試験では固定資産税・都市計画税の計算問題が出題されます。以下の設例で確認しましょう。

📌 計算例
【条件】市街化区域内・敷地150㎡・木造2階建一戸建て(新築3年目)・建物固定資産税評価額1,200万円・土地固定資産税評価額2,400万円

〈土地の固定資産税〉
150㎡ ≦ 200㎡ なので全部が小規模住宅用地
課税標準 = 2,400万円 × 1/6 = 400万円
固定資産税 = 400万円 × 1.4% = 5.6万円

〈建物の固定資産税〉(新築3年目・軽減措置適用)
本来の税額 = 1,200万円 × 1.4% = 16.8万円
120㎡相当分(全部対象)を1/2減額 → 16.8万円 × 1/2 = 8.4万円

〈土地の都市計画税〉
課税標準 = 2,400万円 × 1/3 = 800万円
都市計画税 = 800万円 × 0.3% = 2.4万円

〈建物の都市計画税〉
都市計画税 = 1,200万円 × 0.3% = 3.6万円(新築特例なし)

6. 試験の重要ポイント

  • 固定資産税の課税主体は市区町村(東京23区は都)。賦課期日は毎年1月1日
  • 固定資産税の標準税率は1.4%、課税標準は固定資産税評価額。評価替えは3年に1度
  • 住宅用地の特例(恒久):小規模(200㎡以下)は固定資産税1/6・都市計画税1/3、一般(200㎡超)は固定資産税1/3・都市計画税2/3
  • 新築住宅の税額軽減(固定資産税のみ・120㎡まで):一般住宅3年間・マンション等耐火建築物5年間・認定長期優良住宅は各+2年(一般5年・耐火7年)
  • 令和8年度改正:新築住宅特例の適用期限を令和10年(2028年)3月31日まで延長。床面積の下限を原則40㎡以上に緩和。一定ハザードエリア内は対象外
  • 都市計画税の課税対象は市街化区域内の土地・建物のみ(市街化調整区域は非課税)。制限税率は0.3%
  • 新築住宅の税額軽減措置は固定資産税のみ対象。都市計画税の税額軽減はない
  • 定期借地権の保証金:受取時は課税なし。金融資産(預貯金・公社債等)への運用も課税なし。それ以外の運用は経済的利益を不動産所得の収入に算入
  • 定期借地権の保証金の経済的利益の計算:10年長期国債の平均年利率を使用
  • 権利金の課税:金額が土地時価の50%以下は不動産所得、50%超は譲渡所得

参考・出典

  • 総務省「固定資産税の概要」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/ichiran08.html
  • 国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000021.html
  • 国土交通省「2026年度国土交通省税制改正概要」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000001.html
  • 国税庁「定期借地権の設定により保証金を受け取った場合の課税関係」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1423.htm
  • 東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/real_estate/kotei_tosi

本記事は令和8年度(2026年度)税制改正大綱(令和7年12月19日与党公表・令和7年12月26日閣議決定)に基づき作成しています。税制は毎年改正されることがあります。実際の固定資産税・都市計画税については各市区町村にお問い合わせください。定期借地権に関する課税については税理士等の専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

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