概要
ライフプランの作成とは、人生における様々なイベント(結婚・出産・住宅購入・老後など)を見通したうえで、収入・支出・資産の変化を時系列で整理し、将来の資金過不足を把握する作業です。CFP試験では、各種係数を使った計算問題と、ライフイベント表・キャッシュフロー表・バランスシートの読み取りが頻出です。
本記事では、まず計算問題の土台となる6つの係数を整理し、次にライフプラン作成の3つのツール(ライフイベント表・キャッシュフロー表・バランスシート)の作り方と見方を解説します。係数の使い分けと、各ツールの目的の違いをしっかり押さえておきましょう。
各種係数
ライフプランニングでは、現在の金額を将来の金額に換算したり、目標額を達成するための積立額を求めたりする場面が数多くあります。これらの計算に用いるのが「6つの係数」です。係数表(複利計算表)を使って解く問題が出題されますので、各係数の意味と使い方を正確に理解しておくことが重要です。
6つの係数の一覧と使い方
| 係数名 | 求めるもの | わかっているもの | 使用場面の例 |
|---|---|---|---|
| 終価係数 | 将来の金額(元利合計) | 現在の元本・期間・金利 | 今100万円を預けると○年後にいくらになるか |
| 現価係数 | 現在必要な元本 | 将来の目標額・期間・金利 | ○年後に100万円を受け取るには今いくら必要か |
| 年金終価係数 | 将来の積立合計額 | 毎年の積立額・期間・金利 | 毎年10万円を積み立てると○年後にいくらになるか |
| 減債基金係数 | 毎年の必要積立額 | 将来の目標額・期間・金利 | ○年後に100万円を貯めるには毎年いくら積み立てればよいか |
| 年金現価係数 | 現在必要な元本(一括) | 毎年の受取額・期間・金利 | 毎年10万円を○年間受け取るには今いくら必要か |
| 資本回収係数 | 毎年の受取額(年金額) | 現在の元本・期間・金利 | 今100万円を運用しながら○年間で取り崩すと毎年いくら受け取れるか |
係数の覚え方と相互関係
6つの係数は大きく「一時金系」と「年金系」に分けて整理すると覚えやすくなります。
- 一時金系(現在↔将来の一括変換):終価係数・現価係数。終価係数と現価係数は互いに逆数の関係にあります。
- 年金系・積立(毎年積み立てて将来の合計を求める・逆算する):年金終価係数・減債基金係数。この2つも逆数の関係です。
- 年金系・取り崩し(現在の元本から毎年受け取る・その元本を求める):年金現価係数・資本回収係数。この2つも逆数の関係です。
試験では係数の値が与えられて計算する形式が主流です。「どの係数を使うか」を正しく選べれば、あとは掛け算一つで答えが出ます。問題文から「現在→将来」「将来→現在」「積み立て」「取り崩し」のどのパターンかを見極めることが解答のポイントです。
ライフプランの作成
ライフプランの作成では、3つのツールを段階的に作成していきます。①ライフイベント表で将来の出来事を整理し、②キャッシュフロー表で年ごとの収支と資産残高を把握し、③バランスシートで特定時点の財務状況を確認する、という流れが基本です。
ライフイベント表の作成
ライフイベント表とは、本人・配偶者・子どもなど家族全員の年齢と、将来予定しているイベントを時系列で一覧にした表です。就職・結婚・出産・住宅購入・子どもの入学・退職・老後といった節目を可視化することで、資金需要が集中する時期と、その規模を把握します。
ライフイベント表はキャッシュフロー表の土台となります。まずライフイベント表で「いつ・何が起きるか」を整理してから、各イベントに必要な資金をキャッシュフロー表に落とし込む手順で作業を進めます。
キャッシュフロー表の作成
キャッシュフロー表とは、現在から将来にわたる各年の「収入」「支出」「年間収支」「貯蓄残高」を一覧にした表です。収支のプラス・マイナスと資産の増減を年単位で追うことで、将来のどの時点で資金が不足するかを把握できます。
作成にあたっては、収入や支出の変動率(物価上昇率・給与上昇率など)を設定し、将来の金額を試算します。また、住宅購入・子どもの教育費など一時的な大型支出はライフイベント表から転記して計上します。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 収入 | 給与収入・事業収入・年金収入など | 手取り(可処分所得)で計上するのが一般的 |
| 支出 | 基本生活費・住居費・教育費・保険料など | 一時支出(住宅購入等)は別途計上する |
| 年間収支 | 収入-支出 | マイナスが続く時期が資金不足のサイン |
| 貯蓄残高 | 前年残高+年間収支(運用益を加味する場合もある) | 残高がマイナスになる年が問題点の発見につながる |
キャッシュフロー表の収入欄は、額面(税込)ではなく手取り額(可処分所得)で計上するのが基本です。試験でも「手取り収入」で計算するよう指定される場合があるため、注意が必要です。
バランスシートの作成
バランスシート(貸借対照表)とは、特定の時点における「資産」と「負債」を一覧にし、その差額である「純資産(正味財産)」を把握するための表です。家計の財務状態のスナップショットとして機能します。
- 資産:預貯金・有価証券・不動産・生命保険の解約返戻金など、現時点での「プラスの財産」をすべて時価で計上します。
- 負債:住宅ローン残高・カードローン・自動車ローンなど、返済義務のある「マイナスの財産」を計上します。
- 純資産:資産合計-負債合計。純資産がプラスであれば財務的に健全な状態、マイナスであれば債務超過の状態です。
キャッシュフロー表が「フロー(期間中の動き)」を把握するのに対し、バランスシートは「ストック(ある時点の残高)」を把握するツールです。両方を組み合わせることで、家計の現状と将来見通しを立体的に分析することができます。
試験の重要ポイント
係数の選択ミスをなくす確認手順
係数の計算問題で最も多いミスは「係数の選択を誤ること」です。問題文を読んだら、以下の手順で係数を特定しましょう。
- ① 「一時金」か「毎年の積立・受取(年金)」かを判断する
- ② 「現在→将来」か「将来→現在」かを判断する
- ③ 上記2つの組み合わせで係数を1つに絞る
| 現在 → 将来 | 将来 → 現在 | |
|---|---|---|
| 一時金 | 終価係数 | 現価係数 |
| 毎年積み立て | 年金終価係数 | 減債基金係数 |
| 毎年受け取り | 資本回収係数 | 年金現価係数 |
3つのツールの目的と違いを整理する
| ツール | 時間軸 | 把握できること |
|---|---|---|
| ライフイベント表 | 将来(複数年) | いつ・何が起きるか(イベントと家族年齢の整理) |
| キャッシュフロー表 | 将来(複数年) | 年ごとの収支と貯蓄残高の推移(フロー) |
| バランスシート | 現在(特定時点) | 現時点の資産・負債・純資産の状況(ストック) |
計算問題の頻出パターン
- 老後資金の必要額を現価係数・年金現価係数で求める問題
- 目標額を達成するための毎年の積立額を減債基金係数で求める問題
- キャッシュフロー表の空欄補充(貯蓄残高の計算)
- バランスシートの純資産額の算出
参考・出典
- 日本FP協会「CFP資格審査試験 出題範囲」
- 日本FP協会「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」テキスト
本記事は執筆時点の情報に基づき作成しています。制度・サービスの内容は変更されることがあります。最新情報および個別の判断については、関係機関または専門家にご確認ください。

