国民年金の仕組みと保険料

📊 この記事の出題頻度:★★★(高)
国民年金は「ライフプランニングと資金計画」の中で最頻出テーマです。被保険者の3種類・保険料の数値・年金額の計算・免除制度は毎回のように出題されます。2025年度の最新数値で学習してください。

国民年金とは:日本の年金制度の「1階部分」

日本の公的年金制度は「2階建て」の構造になっています。国民年金(基礎年金)はその1階部分で、20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。2階部分は会社員・公務員が加入する厚生年金で、国民年金に上乗せして給付されます。

国民年金は老後だけでなく、障害を負ったときや家族が亡くなったときにも給付されます。この「老齢・障害・遺族」の3つのリスクをカバーするのが国民年金の基本的な役割です。

🏗️ 公的年金の2階建て構造(試験頻出)
【2階】厚生年金(報酬比例)← 会社員・公務員のみ
【1階】国民年金(基礎年金)← 全国民共通(20歳〜60歳)

被保険者の3種類:第1号・第2号・第3号

国民年金の加入者(被保険者)は、職業・雇用形態によって3つの種別に分類されます。どの種別に該当するかによって、保険料の納め方と給付内容が異なります。この3種類の区別はFP3級で最頻出の論点です。

種別対象者保険料の納め方加入年齢
第1号被保険者自営業者・農業者・学生・フリーランス・無職など自分で直接納付(定額)20歳以上60歳未満
第2号被保険者会社員・公務員(厚生年金・共済組合の加入者)給与天引き(会社と折半)原則65歳未満
第3号被保険者第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収130万円未満)納付不要(制度全体が負担)20歳以上60歳未満

⚠️ 第3号被保険者の重要ポイント(試験頻出)
第3号被保険者は保険料を自分で納めなくても、納付済期間としてカウントされ、将来の老齢基礎年金に反映されます。ただし受け取れるのは基礎年金(1階部分)のみで、厚生年金(2階部分)は受け取れません。

第1号被保険者の独自給付(第1号のみに適用)

第1号被保険者には、第2号・第3号には適用されない独自の給付制度があります。試験では名称と内容の対応が問われます。

  • 付加年金:定額保険料(月17,510円)に月400円を上乗せして納付すると、老齢基礎年金に「200円×付加保険料納付月数」が加算される制度
  • 寡婦年金:第1号被保険者の夫が年金受給前に死亡した場合に、妻(婚姻期間10年以上)に60歳〜65歳の間支給される年金
  • 死亡一時金:第1号被保険者が老齢・障害基礎年金を受給せずに死亡した場合に遺族に支給される一時金(寡婦年金との選択適用)

保険料の仕組みと2025年度の最新数値

国民年金の保険料(第1号被保険者が納める額)は、収入に関係なく全員一律の定額制です。毎年度、賃金変動に応じて改定されます。

💴 2025年度(令和7年度)の保険料
国民年金保険料:月額17,510円(前年度16,980円から530円引き上げ)
年額換算:約210,120円
2026年度の保険料はすでに月額17,920円に決定済み

保険料の納付方法と割引制度

第1号被保険者は、以下の方法で保険料を納付します。まとめて前払いすると割引が適用されます。

  • 現金納付(納付書):コンビニ・金融機関窓口で毎月納付
  • 口座振替(当月末振替):割引あり(月50円相当)
  • 前納制度:6か月前納・1年前納・2年前納があり、まとめるほど割引額が大きくなる
  • クレジットカード払い:口座振替と同等の割引が適用される場合あり

保険料の免除・猶予制度(試験頻出)

収入が少ない期間や学生の間は、申請によって保険料の支払いが免除・猶予されます。「未納」と「免除・猶予」は将来の年金額への影響がまったく異なるため、FP試験で区別して問われます。

制度名対象受給資格期間年金額への反映
全額免除所得が一定以下の第1号被保険者満額の1/2
一部免除(3/4・半額・1/4)所得に応じて段階的に免除割合に応じて減額
学生納付特例所得が一定以下の学生反映されない(追納で回復可)
納付猶予50歳未満で所得が一定以下反映されない(追納で回復可)
未納(手続きなし)反映されない(追納不可)

◯=受給資格期間にカウントされる ✕=カウントされない

⚠️ 追納の期限:免除・猶予から10年以内
免除・猶予された保険料は、10年以内であれば後から納付(追納)することができます。追納することで将来の年金額を満額に近づけられます。未納の場合は2年を超えると追納不可になるため、早めの対応が重要です。

老齢基礎年金の受給要件と計算方法

老齢基礎年金を受け取るには、一定の要件を満たす必要があります。受給額は加入期間によって変わるため、計算の仕方を覚えておきましょう。

受給の3要件

  • 年齢:原則65歳から受給開始
  • 受給資格期間:保険料納付済期間+免除期間の合計が10年以上(平成29年8月から25年→10年に短縮)
  • 加入期間:20歳〜60歳の40年間(480か月)が満額の基準

年金額の計算式と2025年度の数値

📐 老齢基礎年金の計算式(試験頻出)
年金額=満額 × 保険料納付済月数(+免除月数×一定割合)÷ 480

2025年度の満額(昭和31年4月2日以後生まれ)
 年額:831,700円 月額:69,308円

【計算例①】40年間(480か月)全額納付の場合
 831,700円 × 480 ÷ 480 = 831,700円(満額)

【計算例②】30年間(360か月)納付・10年未納の場合
 831,700円 × 360 ÷ 480 = 623,775円(約75%)

【計算例③】30年納付+10年全額免除の場合
 免除期間の反映は「全額免除期間 × 1/2」として計算
 831,700円 × (360 + 120×1/2)÷ 480 = 831,700円 × 420 ÷ 480 = 727,737円

繰上げ・繰下げ受給(試験に出る)

老齢基礎年金は65歳が原則ですが、受け取り開始時期を前後に変更できます。

種類受給開始時期年金額への影響減額・増額率
繰上げ受給60歳〜64歳一生涯、減額された金額が続く1か月繰上げるごとに0.4%減額(最大24%減)
通常受給65歳満額(または加入期間に応じた額)なし
繰下げ受給66歳〜75歳一生涯、増額された金額が続く1か月繰下げるごとに0.7%増額(最大84%増)

⚠️ 繰上げ受給の注意点
繰上げ受給を選択すると、その後に障害状態になっても障害基礎年金を受け取れなくなります(繰上げ後は障害基礎年金への切り替え不可)。また減額は一生涯続くため、長生きするほど受取総額が少なくなるリスクがあります。

障害基礎年金・遺族基礎年金の概要

国民年金からは老齢給付だけでなく、障害や遺族に対しても給付があります。FP3級では金額と要件の概要が問われます。

障害基礎年金

病気やケガで障害状態(国民年金法の障害等級1級または2級)になったときに支給されます。受給するためには、初診日の前日までに保険料を一定期間納めていることが必要(保険料納付要件)です。

  • 1級:満額の1.25倍(2025年度:年1,039,625円)+子の加算
  • 2級:満額相当(2025年度:年831,700円)+子の加算

遺族基礎年金

被保険者または老齢基礎年金受給者が死亡したとき、「子のある配偶者」または「子」に支給されます。ここでいう「子」は18歳到達年度末(障害がある場合は20歳未満)の未婚の子を指します。

  • 支給額(2025年度):831,700円+子の加算(1人目・2人目:各239,300円、3人目以降:各79,800円)
  • 注意:子のない配偶者には遺族基礎年金は支給されない(遺族厚生年金は別途あり)

試験によく出る重要数値まとめ

📋 国民年金 最重要数値(2025年度・法令基準日2025年4月1日)
・加入対象年齢:20歳以上60歳未満
・保険料(第1号):月17,510円(定額・全員同額)
・付加保険料:月400円(第1号のみ)
・老齢基礎年金 満額:年831,700円・月69,308円
・満額の要件:40年間(480か月)納付
・受給資格期間:10年以上
・受給開始年齢:原則65歳(繰上60歳〜・繰下75歳まで)
・繰上げ減額率:1か月ごとに0.4%(最大24%減)
・繰下げ増額率:1か月ごとに0.7%(最大84%増)
・障害基礎年金 1級:満額×1.25倍、2級:満額相当
・追納可能期間:免除・猶予から10年以内

FP2級ではここが加わる

FP3級では「制度の仕組みと基本数値の理解」が中心ですが、FP2級では以下のような応用・計算問題が加わります。

  • 老齢基礎年金の具体的な年金額計算(免除期間の按分を含む複合計算)
  • 離婚時の年金分割(3号分割・合意分割)
  • 国民年金基金の仕組みと節税効果
  • 在職老齢年金(厚生年金との絡み)と高年齢雇用継続給付との調整

本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制・制度は毎年改正されることがあります。実際の手続き・申告・納税については、最新の法令および公式情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。本記事はFP3級試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

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