法人税の基礎

CFP

1. 概要

法人税は、法人が事業活動によって得た所得に対して課される国税です。個人事業主に課される所得税と同じく「所得に対する税」ですが、課税の仕組み・税率・申告方法など多くの点で異なります。CFP試験では、個人の所得税との違いを中心に、法人税の基本構造と法人設立時の手続きを整理することが求められます。

📌 法人税の基本
・課税主体:(国税)
・課税対象:法人の各事業年度の所得
・税率:原則23.2%(中小法人の軽減税率あり)
・申告・納付:事業年度終了日の翌日から2か月以内
・令和7年度改正:所得が年10億円超の事業年度は800万円以下部分の税率が17%に引き上げ(令和7年4月1日以後開始事業年度から)

2. 法人税と所得税の主な違い

項目法人税所得税
納税者法人(株式会社・合同会社等)個人(自然人)
税の種類国税国税
課税対象各事業年度の所得(益金-損金)暦年(1/1〜12/31)の所得(10種類に区分)
所得の区分なし(すべての所得を一括計算)あり(利子・配当・事業・給与・退職・譲渡・山林・一時・雑・不動産の10種類)
税率原則23.2%(比例税率)5〜45%(超過累進税率)
申告期限事業年度終了日の翌日から2か月以内翌年2月16日〜3月15日
課税年度事業年度(任意に設定可・1年以内)暦年(1月1日〜12月31日)固定
損失の繰越青色申告法人:10年間繰越控除可青色申告者:3年間繰越控除可
基礎控除なしあり(令和7年分:最大95万円)
所得控除なし(損金算入で対応)あり(16種類)

法人税の税率

法人の区分所得金額税率
普通法人(資本金1億円超等)全額23.2%
中小法人(資本金1億円以下等)年800万円以下の部分15%(軽減税率の特例・令和9年3月31日開始分まで)
年800万円超の部分23.2%

⚠️ 令和7年度改正:中小法人の軽減税率の見直し
令和7年4月1日以後に開始する事業年度から、所得金額が年10億円を超える事業年度については、年800万円以下の部分に適用される軽減税率が15%から17%に引き上げられます。また、令和8年4月1日以後開始事業年度からは防衛特別法人税(法人税額-500万円)×4%が新設されます。

3. 法人税の課税所得の計算

法人税の課税所得は、企業会計上の利益をベースに税務調整を加えて計算します。

📌 課税所得の計算構造
税引前当期純利益
 + 加算項目(損金不算入・益金算入)
 - 減算項目(益金不算入・損金算入)
 = 課税所得(所得金額)
 × 税率
 = 法人税額(税額控除前)

益金と損金の概念

概念内容主な例
益金法人税法上、課税所得に算入すべき収益売上収入、資産の譲渡収益、受取配当金(一部)など
損金法人税法上、課税所得から控除できる費用・損失売上原価、販売費・一般管理費、減価償却費、役員給与(一定のもの)など
益金不算入会計上は収益だが税務上は益金に算入しない受取配当金の益金不算入など
損金不算入会計上は費用だが税務上は損金に算入できない法人税・住民税、過大役員給与、交際費(一部)など

4. 法人にかかる主な税金

法人税のほかにも、法人にはさまざまな税金が課されます。

税の名称種別概要
法人税国税法人の所得に対して課税。税率23.2%(中小法人軽減あり)
地方法人税国税法人税額×10.3%。地方交付税の財源として国が徴収
法人住民税地方税(都道府県・市区町村)均等割+法人税割(法人税額×税率)
法人事業税地方税(都道府県)所得割・付加価値割・資本割(資本金1億円超の大法人は外形標準課税)
特別法人事業税国税(都道府県に申告)法人事業税の所得割額×37%(中小法人の場合)

5. 法人設立の手続きと会社法

会社の種類(会社法)

種類特徴社員の責任
株式会社最も一般的。株式を発行して資金調達。定款の公証人認証が必要有限責任
合同会社(LLC)設立費用が低く手続きが簡便。定款の公証人認証不要有限責任
合名会社社員全員が無限責任を負う無限責任
合資会社無限責任社員と有限責任社員が混在無限責任・有限責任が混在

株式会社の設立手続きの流れ

  • ①基本事項の決定:商号・目的・本店所在地・資本金・事業年度・役員構成などを決定
  • ②定款の作成・認証:発起人が定款を作成し、公証役場で公証人の認証を受ける(合同会社は認証不要)
  • ③出資の払込:発起人が資本金を発起人名義の口座に払い込み、払込証明書を作成
  • ④設立登記:本店所在地を管轄する法務局に設立登記を申請。登録免許税は資本金×0.7%(最低15万円)。登記日が設立日となる
  • ⑤各種届出:設立後、税務署・都道府県・市区町村・年金事務所等へ届出書を提出

定款の記載事項

種類内容主な項目
絶対的記載事項必ず記載しなければ定款が無効目的・商号・本店所在地・出資財産の価額・発起人の氏名と住所
相対的記載事項記載しなければその効力が生じない株式譲渡制限・現物出資・取締役会の設置など
任意的記載事項記載してもしなくてもよいが、記載すれば定款上の効力を持つ事業年度・役員報酬の決定方法・株主総会の開催時期など

設立後の主な税務手続き(税務署への届出)

届出書類提出先提出期限
法人設立届出書税務署・都道府県・市区町村設立後2か月以内
青色申告の承認申請書税務署設立後3か月以内または第1期末の前日のいずれか早い方
給与支払事務所等の開設届出書税務署開設後1か月以内
源泉所得税の納期の特例の承認申請書税務署申請後翌月以降適用(任意)
棚卸資産の評価方法の届出書税務署第1期の確定申告期限まで(任意)
減価償却資産の償却方法の届出書税務署第1期の確定申告期限まで(任意)

📌 青色申告の重要性
法人も青色申告と白色申告があります。青色申告を選択すると、欠損金の10年間繰越控除・繰戻し還付・特別償却・税額控除など多くの特典が受けられます。設立後3か月以内の申請が必要なため、設立直後の手続きとして最優先で対応すべき届出です。

6. 法人の申告・納付

区分内容期限
確定申告事業年度終了後に所得・税額を申告事業年度終了日の翌日から2か月以内
中間申告事業年度が6か月を超える場合に前期実績または仮決算で申告事業年度開始後6か月経過後2か月以内

📌 申告期限の延長
株主総会の開催が決算から2か月を超える場合は、定款にその旨を定め、所轄税務署に申請することで申告期限を1か月延長できます。ただし納付期限は延長されないため、延長分の利子税が発生します。

7. 試験の重要ポイント

  • 法人税は国税。課税所得は益金-損金で計算し、所得の区分はない
  • 税率は原則23.2%(比例税率)。所得税の累進税率とは異なる
  • 中小法人(資本金1億円以下等)の軽減税率:年800万円以下の所得に15%(令和9年3月末開始分まで)
  • 令和7年度改正:所得年10億円超の事業年度は800万円以下部分が17%に引き上げ(令和7年4月1日以後開始事業年度)
  • 申告・納付期限は事業年度終了日の翌日から2か月以内(所得税の3月15日とは異なる)
  • 法人に基礎控除・所得控除はない。個人の所得控除に相当するものは損金算入で処理
  • 欠損金の繰越控除期間:法人(青色)は10年、個人(青色)は3年
  • 株式会社の定款は公証人の認証が必要。合同会社は不要
  • 定款の絶対的記載事項:目的・商号・本店所在地・出資財産の価額・発起人の氏名と住所
  • 設立登記の登録免許税:資本金×0.7%(最低15万円
  • 青色申告承認申請書の提出期限:設立後3か月以内または第1期末の前日のいずれか早い方

参考・出典

  • 国税庁「No.5759 法人税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm
  • 財務省「法人課税に関する基本的な資料」https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c01.htm
  • 法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00134.html
  • 国税庁「令和7年度法人税関係法令の改正の概要」

本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制は毎年改正されることがあります。実際の申告・納税については、最新の税法および国税庁の情報を確認するとともに、税理士等の専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

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