📊 この記事の出題頻度:★★★(高)
FP3級との主な違い:4種類の利回り(直接・応募者・最終・所有期間)を実際に計算する・所有期間利回りの分子に売却価格を使う判断・利回りの大小比較と債券価格の関係が加わります。
債券利回りの考え方:共通する1つの公式
FP2級で出題される4つの利回りは、すべて同じ考え方から組み立てられます。「1年あたりの利息(インカムゲイン)+1年あたりの換金損益(キャピタルゲイン・ロス)」を購入価格で割る、というのが共通の骨格です。
債券利回り(%) = (表面利率 + 年間換金損益) ÷ 購入価格 × 100
「年間換金損益」=(換金額 – 購入価格)÷ 保有期間
4種類の利回りの違い
| 利回りの種類 | 買い方 | 売り方(換金額) | 計算の「換金額」 |
|---|---|---|---|
| 応募者利回り | 発行時に発行価格で購入 | 満期まで保有(額面で償還) | 額面(100円) |
| 最終利回り | 流通市場で購入価格で購入 | 満期まで保有(額面で償還) | 額面(100円) |
| 所有期間利回り | 購入価格で購入(いつでも) | 満期前に売却価格で売却 | 売却価格(100円ではない) |
| 直接利回り | 購入価格で購入 | 換金損益を考慮しない | 換金損益は含まない |
⚠️ 所有期間利回りの最大の注意点:換金額は「売却価格」であり、額面100円ではありません。応募者利回り・最終利回りは「100円で換金」ですが、所有期間利回りだけは「途中売却価格で換金」します。ここを間違えると全問不正解になります。
計算例①:最終利回り
【設例】表面利率2%・残存期間4年の既発債を額面100円につき98円で購入し、満期まで保有する場合の最終利回りは?
最終利回り = {2 +(100 – 98)÷ 4}÷ 98 × 100
= {2 + 0.5}÷ 98 × 100
= 2.5 ÷ 98 × 100
≒ 2.55%
計算例②:所有期間利回り(満期前売却)
【設例】表面利率1.1%・残存期間5年の債券を額面100円につき106.5円で購入し、3年後に額面100円につき105円で売却した場合の所有期間利回りは?
所有期間利回り = {1.1 +(105 – 106.5)÷ 3}÷ 106.5 × 100
= {1.1 +(-0.5)}÷ 106.5 × 100
= 0.6 ÷ 106.5 × 100
≒ 0.56%
📌 売却価格105円 < 購入価格106.5円 なのでキャピタルロスが発生。年間換金損益は(105-106.5)÷3年 = -0.5円/年。表面利率1.1から0.5を引いて0.6円が年間利益となります。
計算例③:応募者利回り
【設例】表面利率4%・償還期限5年の新発債を発行価格95.5円で購入し、満期まで保有した場合の応募者利回りは?
応募者利回り = {4 +(100 – 95.5)÷ 5}÷ 95.5 × 100
= {4 + 0.9}÷ 95.5 × 100
= 4.9 ÷ 95.5 × 100
≒ 5.13%
直接利回り
直接利回りは、利息だけの利回りで換金損益を含みません。
直接利回り = 表面利率 ÷ 購入価格 × 100
【例】表面利率2%の債券を98円で購入した場合:
直接利回り = 2 ÷ 98 × 100 ≒ 2.04%
債券価格と利回りの関係
市場金利が変動すると債券価格は逆方向に動きます。この関係はFP2級で必ず出題されます。
| 市場金利 | 債券価格 | 利回り(最終) |
|---|---|---|
| 上昇 | 下落 | 上昇(割安になるため) |
| 低下 | 上昇 | 低下(割高になるため) |
📌 デュレーション:債券価格の金利感応度を表す指標です。デュレーションが大きいほど金利変動に対する価格変動幅が大きくなります。残存期間が長い債券ほど・クーポンが低い債券ほどデュレーションが大きくなります。FP2級ではデュレーションの概念と「残存期間が長いほどリスク大」という方向性を問われます。
FP3級との主な違い
| 項目 | FP3級 | FP2級 |
|---|---|---|
| 利回り計算 | 最終利回り・応募者利回りの計算 | 所有期間利回り(途中売却)を含む4種類すべてを計算 |
| 債券価格と金利の関係 | 逆方向に動く概念 | デュレーションの概念と金利感応度の大小比較 |
| 利回りの正負の判定 | プラスのみ | マイナス利回り(購入価格が高い場合)の計算も含む |
試験対策:よく問われるポイント一覧
- 応募者・最終利回り:換金額は額面100円(満期償還)
- 所有期間利回り:換金額は売却価格(100円ではない)
- 計算式の分母は常に「購入価格(投資額)」
- マイナス利回りになる場合は購入価格が高く利息で補えないケース
- 市場金利上昇→債券価格下落→利回り上昇(逆方向の動き)
まとめ
債券利回りの計算は「(表面利率+年間換金損益)÷購入価格×100」という1つの公式で4種類すべてに対応できます。
本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。税制・制度は毎年改正されることがあります。実際の手続き・申告・納税については、最新の法令および公式情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。本記事はFP2級試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。
