金融商品の基礎と預貯金・信託

CFP

1. 概要

金融商品の基礎知識は「安全性・流動性・収益性」の3つの観点から各商品を分類・比較する力が問われます。本記事では預貯金・信託・積立商品を中心に、各商品の仕組みと特徴、利息計算の方法を整理します。元本確保型商品の基礎として、債券・株式・投資信託などリスク性商品を学ぶ前の土台となる分野です。

2. 金融商品の全体像

安全性・流動性・収益性のトレードオフ

金融商品はすべての面で優れたものは存在せず、3つの特性はトレードオフの関係にあります。CFP試験では「どの特性が高い(低い)商品か」を問われる問題が頻出です。

特性内容高い商品の例
安全性元本が保証される度合い普通預金・定期預金・国債
流動性必要なときにすぐ換金できる度合い普通預金・MRF・MMF
収益性高いリターンが期待できる度合い株式・外貨預金・投資信託

3. 流動性預貯金・口座

種類特徴・ポイント
普通預金いつでも預け入れ・引き出し可能。利息は変動金利。預金保険の保護対象(1金融機関あたり元本1,000万円+利息まで)
当座預金主に事業者が小切手・手形の決済に使用。無利息。預金保険の全額保護対象(決済用預金)
決済用預金①無利息 ②要求払い ③決済サービスを提供の3条件を満たす預金。金額の上限なく全額保護
貯蓄預金普通預金より高い金利。残高が一定額以上の場合に適用。引き出し・預け入れ自由だが、公共料金自動引き落としには使用不可
通知預金最低2日前に解約通知が必要。普通預金より高い金利。まとまった資金を短期間運用するのに適する

📌 決済用預金の3条件
「無利息・要求払い・決済サービスの提供」の3条件をすべて満たす預金が決済用預金として全額保護されます。当座預金のほか、この3条件を満たす普通預金も該当します。利息のつく普通預金は決済用預金には該当しません。

4. 定期性預貯金

種類特徴・ポイント
定期預金(スーパー定期)期間1か月〜10年。固定金利。300万円未満は単利、300万円以上は単利・複利を選択可(3年以上の場合)
大口定期預金1,000万円以上。固定金利・単利。金利は交渉可能な場合あり
期日指定定期預金1年間据え置き後、1か月前に通知することで任意の日を満期日に指定できる。複利型
変動金利定期預金半年ごとに金利が見直される。金利上昇局面で有利。6か月複利で計算
自動継続定期預金満期時に自動的に同条件で継続。継続時の金利(その時点の金利)が適用される

⚠️ 中途解約時の金利
定期預金を満期前に中途解約した場合、約定金利ではなく中途解約利率(通常、約定金利より大幅に低い)が適用されます。元本割れは発生しませんが、受取利息が大きく減少する点に注意が必要です。

5. 預貯金の利息計算

単利と複利

方式計算式特徴
単利元本 × 金利 × 期間利息は元本にのみつく。期間が短いほど複利との差は小さい
複利元本 × (1 + 金利)^ 期間利息にも利息がつく。期間が長いほど単利との差が大きくなる

計算例

元本100万円、年利2%、預入期間3年の場合:

  • 単利:100万円 × 2% × 3年 = 利息6万円 → 元利合計 106万円
  • 年複利:100万円 × (1.02)³ = 約 106.12万円(利息約6.12万円)
  • 半年複利:100万円 × (1.01)⁶ = 約 106.15万円(利息約6.15万円)

📌 半年複利の計算
半年複利の場合、年利を2で割った金利(半年利率)を、期間(年数×2)乗します。上記例では年利2%→半年利率1%、3年→6期間となります。試験では「半年複利と年複利のどちらが有利か」を問われる問題も出題されます(同じ金利なら複利回数が多いほど有利)。

税引き後利回りの計算

預貯金の利息には原則として20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が源泉徴収されます。税引き後の実質的な利回りは以下のように計算します。

税引き後利回り = 表面利率 × (1 − 0.20315)

例:年利2%の定期預金の税引き後利回り = 2% × 0.79685 ≒ 1.594%

6. 信託商品

信託とは、委託者が信頼できる受託者(信託銀行等)に財産を移転し、受益者のために管理・運用させる仕組みです。

種類特徴・ポイント
合同運用指定金銭信託(ヒット)複数の委託者の資金をまとめて運用。元本補てん契約あり(実質的な元本保証)。預金保険の対象外だが信託財産として保護される
単独運用指定金銭信託(ファンドトラスト)委託者が運用方法を指定。元本補てんなし(元本保証なし)。法人の資金運用に利用されることが多い
投資信託(契約型)信託の一形態。詳細は投資信託の記事を参照
遺言信託遺言の作成・保管・執行を信託銀行が担う。信託法上の「信託」とは異なり金融商品ではなくサービス

📌 信託の3当事者
信託の基本構造は「委託者(財産を預ける人)」「受託者(財産を管理・運用する人)」「受益者(利益を受け取る人)」の3者関係です。委託者と受益者が同一の場合(自益信託)と異なる場合(他益信託)があります。

7. 積立商品

貯蓄型積立商品

種類特徴・ポイント
積立定期預金毎月一定額を自動振替で積み立て。満期時に定期預金として受け取り。元本確保型
財形貯蓄(一般)給与天引きで積み立て。税制優遇なし。詳細は財形貯蓄制度の記事を参照
個人向け国債(積立)毎月購入可能な個人向け国債(変動10年・固定5年・固定3年)。元本保証、中途換金可(直近2回分の利子相当額が差し引かれる)

投資型積立商品・制度

種類特徴・ポイント
つみたて投資枠(NISA)年間120万円まで積立投資が非課税。長期・積立・分散投資に適した投資信託等が対象。2024年から新NISAとして恒久化
iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金が全額所得控除。運用益非課税。受取時も退職所得控除・公的年金等控除が適用。詳細は確定拠出年金の記事を参照
投資型積立(証券会社・銀行)投資信託の定期定額購入(ドルコスト平均法)。元本保証なし。コスト平均効果により高値づかみのリスクを軽減

ドルコスト平均法

毎回一定金額を積み立てることで、価格が高いときは少なく・安いときは多く購入でき、1口あたりの平均取得単価を平準化する効果があります。

購入金額基準価額(1口)購入口数
1月10,000円1,000円10口
2月10,000円500円20口
3月10,000円1,000円10口
合計30,000円平均1,000円(算術平均)40口

平均取得単価 = 30,000円 ÷ 40口 = 750円/口(算術平均の1,000円より低くなる)

8. 試験の重要ポイント

  • 金融商品の3特性(安全性・流動性・収益性)はトレードオフの関係。すべてに優れた商品は存在しない
  • 決済用預金(無利息・要求払い・決済サービス)は全額預金保険で保護。それ以外の預金は元本1,000万円+利息まで
  • 貯蓄預金は公共料金の自動引き落としに使用不可(頻出の引っかけ問題)
  • 定期預金の中途解約 → 元本割れはないが中途解約利率(低い)が適用される
  • スーパー定期は300万円以上・3年以上の場合に複利型が選択可
  • 預貯金の利息の税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が源泉徴収
  • 半年複利 > 年複利 > 単利の順で、同一金利なら複利回数が多いほど有利
  • 合同運用指定金銭信託(ヒット)は元本補てん契約ありで実質的な元本保証。ただし預金保険の対象外
  • 信託の3当事者は委託者・受託者・受益者。委託者と受益者が同一=自益信託
  • ドルコスト平均法の平均取得単価は算術平均より低くなる(価格が同一水準に戻っても利益が出る可能性あり)
  • 個人向け国債の中途換金 → 直近2回分の利子相当額が差し引かれる(ただし元本割れなし)

参考・出典

  • 預金保険機構「預金保険制度の概要」https://www.dic.go.jp/hogo/index.html
  • 財務省「個人向け国債」https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/index.htm
  • 金融庁「NISAについて」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/index.html
  • 信託協会「信託とは」https://www.shintaku-kyokai.or.jp/trust/

本記事は令和7年(2025年)時点の情報に基づき作成しています。金融商品の金利・制度・税率は変更されることがあります。最新情報および個別の判断については、各金融機関または専門家にご確認ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

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