1. 概要
経営分析とは、財務諸表の数値をもとに企業の収益性・安全性・効率性などを客観的に評価する手法です。CFP試験では経営指標の計算式と、損益分岐点分析の計算問題が出題されます。財務諸表の各数値がどの指標に対応するかを整理しておくことが重要です。
2. 収益性指標
収益性指標は、企業がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを測る指標です。
| 指標 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| 売上高総利益率(粗利率) | 売上総利益 ÷ 売上高 × 100 | 売上高に占める粗利の割合。高いほど収益性が高い |
| 売上高営業利益率 | 営業利益 ÷ 売上高 × 100 | 本業の収益性。業種間比較に有効 |
| 売上高経常利益率 | 経常利益 ÷ 売上高 × 100 | 通常の事業活動全体の収益性 |
| ROA(総資産利益率) | 当期純利益 ÷ 総資産 × 100 | 資産全体の収益効率。高いほど効率よく利益を生んでいる |
| ROE(自己資本利益率) | 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 | 株主から見た収益性。高いほど投資効率がよい |
📌 ROAとROEの違い
ROA(Return on Assets):借入金を含む総資産をどれだけ有効活用したか
ROE(Return on Equity):株主が出資した自己資本をどれだけ有効活用したか
ROE = ROA × 財務レバレッジ(=総資産÷自己資本)
借入金(レバレッジ)が大きいほどROEはROAより高くなります。
3. 安全性指標
安全性指標は、企業の支払能力や財務の健全性を測る指標です。
| 指標 | 計算式 | 目安・意味 |
|---|---|---|
| 流動比率 | 流動資産 ÷ 流動負債 × 100 | 200%以上が理想。短期的な支払能力の指標 |
| 当座比率 | 当座資産 ÷ 流動負債 × 100 | 100%以上が理想。当座資産=現金+預金+売掛金+受取手形(棚卸資産を除く) |
| 自己資本比率 | 自己資本(純資産) ÷ 総資産 × 100 | 高いほど財務安全性が高い。負債への依存度が低い |
| 負債比率 | 他人資本(負債) ÷ 自己資本 × 100 | 低いほど安全。100%以下が目安 |
| 固定比率 | 固定資産 ÷ 自己資本 × 100 | 100%以下が理想。固定資産が自己資本内に収まっているか |
| 固定長期適合率 | 固定資産 ÷ (自己資本+固定負債) × 100 | 100%以下が理想。長期資金で固定資産を賄えているか |
4. 効率性指標(回転率)
効率性指標は、資産や債権をどれだけ効率よく活用しているかを測る指標です。
| 指標 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| 総資産回転率 | 売上高 ÷ 総資産(回) | 資産を効率的に使って売上を生んでいるか。高いほど効率的 |
| 売上債権回転率 | 売上高 ÷ 売上債権(売掛金+受取手形)(回) | 高いほど債権回収が速い |
| 棚卸資産回転率 | 売上高 ÷ 棚卸資産(回) | 高いほど在庫が速く売れている |
5. 損益分岐点分析
損益分岐点とは、売上高と総費用が一致し、利益も損失もゼロとなる売上高(または販売量)のことです。固定費と変動費に費用を分解することが前提となります。
固定費と変動費
| 費用の種類 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 固定費 | 売上高・生産量にかかわらず一定額発生する費用 | 家賃・リース料・減価償却費・固定給・保険料 |
| 変動費 | 売上高・生産量に比例して増減する費用 | 材料費・仕入原価・歩合給・外注費 |
損益分岐点の計算
📌 損益分岐点の計算式
限界利益 = 売上高 - 変動費
限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高(= 1 - 変動費率)
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
【例】固定費300万円、変動費率60%の場合
限界利益率 = 1 - 0.6 = 0.4(40%)
損益分岐点売上高 = 300万円 ÷ 0.4 = 750万円
損益分岐点分析の主な指標
| 指標 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| 損益分岐点比率 | 損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高 × 100 | 低いほど安全。100%を超えると赤字 |
| 安全余裕率(マージン・オブ・セーフティ) | (実際の売上高 - 損益分岐点売上高)÷ 実際の売上高 × 100 | 売上が何%減少すると赤字になるかを示す。高いほど安全 |
| 営業レバレッジ | 限界利益 ÷ 営業利益 | 売上高が1%変化したとき、営業利益が何%変化するかを示す。固定費比率が高いほど大きい |
📌 損益分岐点比率と安全余裕率の関係
損益分岐点比率 + 安全余裕率 = 100%
例:損益分岐点比率75% → 安全余裕率25%(売上が25%減少するまでは黒字)
目標利益達成のための売上高
📌 目標利益を達成するために必要な売上高
必要売上高 = (固定費 + 目標利益)÷ 限界利益率
【例】固定費300万円、変動費率60%、目標利益100万円の場合
必要売上高 = (300万円 + 100万円)÷ 0.4 = 1,000万円
6. 試験の重要ポイント
- ROA=当期純利益÷総資産。ROE=当期純利益÷自己資本。分母の違いに注意
- 流動比率は200%以上、当座比率は100%以上が理想。固定比率・固定長期適合率は100%以下が理想
- 自己資本比率=純資産÷総資産。高いほど財務が健全
- 損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率。限界利益率=1-変動費率
- 損益分岐点比率+安全余裕率=100%
- 目標利益達成の必要売上高=(固定費+目標利益)÷限界利益率
- 営業レバレッジ=限界利益÷営業利益。固定費の比率が高いほど大きく、売上変動の影響を受けやすい
参考・出典
- 日本FP協会「CFP資格標準テキスト タックスプランニング」
- 中小企業庁「中小企業の財務指標」
本記事は令和7年(2025年)分の法令および制度に基づき作成しています。経営指標の算出方法は目的や慣行により異なる場合があります。実際の財務分析・経営判断については、公認会計士・税理士等の専門家にご相談ください。本記事はCFP試験対策および一般的な学習目的で作成されたものです。

